投稿者「山本真紀子」のアーカイブ

山本真紀子 について

動物病院で主に皮膚科医として働く獣医さんです。

猫の皮膚病ー蚊!蚊が出てきたよ!!注意!!ー

蚊!蚊が出てきたよ!!黒いお耳を持つ外猫さん!!この季節は要注意!!お耳にブツブツが出て引っ掻いている。そんな時は・・・・・!

暑くなってきました。。お外に出るのに虫除けがいる季節。。

実は私、O型のせいがとても蚊に好かれます。えっ?足が臭いんじゃないかって??・・・酷い。。。。😿

わんこはこの季節はそろそろフィラリアの予防を始めなくちゃ!って頃ですよね。

にゃんこの皮膚科領域ではこの頃から。。特に外猫さん、しかも何故かお耳の黒い子が特に!!

にやられる季節なんです!!

蚊刺症=モスキートバイト!

ご存知でしたか?その名も「蚊刺症」、あるいは「蚊刺咬性過敏症(モスキートバイト)」なんて言います。

これは蚊のアレルギーであることが分かっています。

教科書では昆虫アレルギーと紹介されていることもあります。

耳介や鼻先、足の裏など毛の薄いところがやられます。そして猫さんは解毒作用が弱いので、どうも人用の蚊よけゼリーを塗らない方が良いみたいなんですよねー。。

結局のところ、蚊に刺されないようにする。病変は早めに対症療法で治す&引っ掻かないようにする。。という対応になりますが、ま、蚊に刺されか!そのうち治るかな!なんて軽く見ていると、酷く引っかき壊して化膿してしまうこともあるので、早めにご来院くださいね!

治療後↓

痒くなくなって良かったね!

犬の皮膚病 ー ニキビダニ症 ー

今日はニキビダニ症という皮膚病を解説します。見た目だけでは分からないこの病気は色んな発疹を呈するのが特徴的。若くてもお年寄りでもニキビダニ症は発症するよ。まずはきちんと皮膚検査をすることが大切なんだけど。。。。

1.ニキビダニはヒトにもいるよ!

いきなりですが、ニキビダニはヒトにもいます。

えぇ〜!いやあ!😱という声が聞こえてきそうですよね😆

そう、あなたにも、私にもいるそうです。。

人によってはこういうお話が嫌いな方もいらっしゃるかもしれませんが、ここは科学的な議論?の場なので、冷静に今分かっている事実を述べていきます。細菌で、常在菌とか日和見菌とかいう用語を聞いたことがあるでしょうか?

常に在る菌と書きますが、健康な人や動物の多くがその菌を持っていて、共存している菌のことを指します。実はこれはある種の寄生虫にも当てはまり、ニキビダニというのは健康な動物や人の毛孔(毛包)に住んで共存しているそうです。

何かちょっと嫌ですよね😆。まあ、仕方がないです。長い人間や動物の歴史?の中でそうなっているということですし、自分だけは完全に清浄であると思ってはいけないというとこですかしらね!?😅

2.毛孔に住んでいます!(閲覧注意?)

そういうわけで、ほぼ全てのイヌが(ヒトも) ”ニキビダニ”という虫?を毛孔に飼って?共存しているのです。😅

こんな感じに(ちなみにこれはちょっと増えすぎてますね。。あと、実際はもっと小さくて、その代わり増えている時はもっとウジャウジャと。。。ふふふ😅)

画像5

分かります?毛孔に可愛い?ニョロニョロみたいなニキビダニが住んでいる図😙

実際はこんな感じです

ニキビダニ 2

でもほとんど心配いりません。ヒトにはヒトのニキビダニ。イヌにはイヌのニキビダニがいて、イヌからヒトへ移ることはありません。(笑)

え?でもヒトにもいるんですよね?

います。😱

言いましたよね? 大丈夫です。 心配いりません。笑。

😱

気にしないでください。笑。

3.免疫とのバランスが崩れるのが原因?

通常は自分の免疫が適度にバランスを取って、ニキビダニが異常繁殖するのを防いでいます。だいたい、10箇所くらい毛を抜いて顕微鏡で見た時に1匹くらい見つかっても気にしなくて良いということになっています。ところが、何が原因があってニキビダニの数が異常に増えると、皮膚炎の状態になってしまう。

まだ若いうち(だいたい2歳以下)、まだ皮膚が丈夫じゃなくて(皮膚の免疫?構造?その両方かな。。)ニキビダニが増えちゃうこともあります。

ちょっとしたひっかき傷みたいなのがなかなか治らなくて痒い時、ひょっとするとコイツかもしれません。時々、ニキビダニに弱い体質の子もいます。残念ながらこういう子は他の子よりちょっと酷くなるし、繰り返す傾向があって、生涯コイツとうまく付き合っていかなくちゃいけないということになります。。

逆に高齢の場合、何か持病があったり(皮膚以外でも!)、そうでなくても色んな病気に対する抵抗が衰えて。あるいはホルモン系の病気(内分泌疾患と言います)を発症してとか、他の病気で免疫を抑制する薬を飲んでいる場合など!

 ・・・つまり免疫が低下すると・・・・

ニキビダニ症を併発することがあるので、注意が必要。最近みるのが、アポキル!!これを2年位飲んでいる子で途中からニキビダニ症になっている子に時々出くわします!!アポキル効かなくなってきたらひょっとして・・?!

4.ニキビダニ症の実際の症状は多彩

イヌのニキビダニ症の発疹像は非常に多彩。

幼犬ではこんな感じの微妙な脱毛。。。だけど痒い! 抗生物質効かない。。  という病変が多く、

幼犬のニキビダニ症

高齢のイヌや基礎疾患のあるイヌでは

こんなだったり

犬ニキビダニ症1

こんなだったり

重症ではこんなになってしまうことも・・・

犬ニキビダニ症2

数十年前だと良い治療法がなくて、安楽死なんてこともあったそう😢

5.治療、そして背景となる病気を調べるのが大事だよ

今は良い薬ができて、そんなに治療に苦労しなくなりました。

真上のひどい子も↓ はい、この通り😀

國賀トロワ治療後背部

ただし、きちんとした皮膚検査をしないと見つけることができません。

それに、どうしてニキビダニが増えてしまうような状態にあるのか?

を探っていくことも大事です。

まだ若いから、皮膚の免疫も弱くてちょっと負けてしまっていて、病変が出てしまっているだけなら割とあっさりと治っていきますが、

特に高齢の子の場合は、アレルギーとか、内分泌疾患(ホルモンのアンバランスが起きる病気)、内臓の他の疾患など、

【 基礎疾患があるために、皮膚の免疫機能が衰えて発症している ]

ことが多いので、根底にある病気を丁寧に探っていくことが大切。

病変が重度の場合は細菌感染も合併するのでそちらの対策も必要。

場合によってはニキビダニ対策をずっと続ける必要があるかもしれません。

ヒトの場合は顔ダニとかいって、やっぱりニキビと関係してる場合もあるみたいですね。🤔

えっ?自分の顔ダニはどうすれば良いかって?

それは知りません。😁

犬の皮膚病・ホットスポット – Hot Spot –

急に痒がって真っ赤に!ずっと掻いている!じくじく!液が出てきた!一晩で赤むけに!脱毛!

さて、今日はじめじめして&暑くなってくるこの季節に多くなる皮膚病を紹介します。それはHotspot(ホットスポット)と呼ばれる皮膚病。

症状

日本語では急性湿性皮膚炎なんて呼ぶかな。その名の通り本当に急性です。例えば朝から急に掻き出して止まらないといって昼過ぎとかに来院とか、夜中掻いていて朝来院とか!朝までにあっという間にひどくなってしまう。。。引っ掻いたり、酷いと齧ったり。。

だから引っ掻いたり噛んだりしやすい所によく出来ます。頬とか、腰とか、首とかが多いですね!!

Hotspot

上の写真はまだ早めに来院してくれたので良かった方です。

あと少し置いたら腫れ上がって、じくじくがもっと酷くなり、膿っぽくなり始めたことでしょう。。。🥲

原因

原因は主に湿気!!

と、私は思っています。。。。😁

何故ならあまりにも梅雨の時期、特に湿気の強い日、特にアンダーコートが多いシェルティ、ゴールデン・レトリバーなどに多いから。。

教科書的に言うと、原因は痒みをきっかけとするものなら何でもあり。ノミ寄生、膿皮症、アトピー性皮膚炎、外耳炎、肛門腺炎などなどなど。。主には細菌感染なんて書いてあったりもするけれどね。。。

えっ?じゃあ、アトピー性皮膚炎とかで掻いているのと何が違うの?というと、自分で掻いてしまったことが原因で皮膚が剥けてしまって、その痛痒さが我慢ならないものになってしつこく掻くのが止まらず、どんどんひどくしてしまっているという悪循環。。。が、Hotspot病変を作ってしまっているということ。

子供が蚊に刺された所を引っ掻いて痛くしちゃって、いじるのが止まらなくなっちゃって赤剥けして腫れちゃってるのと同じ感じです。

靴ずれみたいな痛痒さって言えば分かるでしょうか?

ひどくなるとこんなにしてしまいます。↓

外耳炎が原因だったHotspot

治療

治療は患部の炎症を鎮めること、感染を抑えることの他に、感染があまりなさそうならば病変の場所によっては湿潤療法をやってみることもあります。

靴ずれみたいな痛痒さは湿潤療法がうまくいくと10分くらいで収まりますよ。😀

あと、他の場所に同じような部位がないか調べたり、ノミがいないかとか、耳、肛門腺の痒みではないかとか、場合によっては膀胱炎とか関節炎の鈍痛やチクチクする痛みなどがきっかけの場合もあるので、そういうところもしっかり診てあげる必要がありますよね。

もしお家にいて、すぐには動物病院に行けない場合は冷やすのも効果的かも!

でもひどくなる前になるべく早く病院に連れてきてあげてくださいね!!😂

犬の皮膚病 ークッシング症候群ー

全体的に毛が薄い。お腹がポッテリと太っている。お水を飲む量が多い。おしっこが多い。皮膚病を繰り返す。。。高齢犬のこんな症状。ひょっとしてホルモンの問題かも!!高齢犬に多い皮膚病の1つクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の解説

1.特徴

高齢になってから皮膚病が治らない。それに以下のような症状が一致したらひょっとしてホルモンの病気の一種、「クッシング症候群=副腎皮質機能亢進症」の可能性があります。

  • お腹がポッテリと太鼓っ腹になってきた。
  • 食欲はすごい。
  • お水を飲む量が多い。
  • ハァハァ言うことが多くなった(パンティング)
  • おしっこが多い
  • 皮膚が薄い
  • 傷が治りにくい

高齢になってから起きるホルモン関連の皮膚病の2大原因に、「甲状腺機能低下症」と、「クッシング症候群=副腎皮質機能亢進症」があります。どっちも太りやすくなるのが特徴的ですが、太り方とは皮膚の感じが違うんですよね。どっちも毛の抜け方は割と似てるんですけど。。。

  • 甲状腺機能低下症は、皮膚は厚い。太り方は全体的に寸胴な感じのんびりしている
  • クッシング症候群の方は皮膚は薄い。太り方はお腹だけポテッと太鼓っ腹になる。活動的食欲もすごい。

という感じです。

2.飲水量が増えます

飲水量は犬の平均が1日60ml/kg 程度。クッシングでは100ml/kgくらいになったりします。つまりは5kgくらいのわんこが1日に500mlのペットボトルを空にするくらい水を飲むなら明らかに異常です。

不安な時は24時間でどれくらい水を飲んでいるか、計量カップとかを使って量ってみてくださいね。

飲水量の増加は他にも糖尿病や腎臓病、利尿剤やステロイドを飲んでいる時にも見られます。

3.症状

クッシングの時の典型的なお腹の様子はこちら↓ お腹だけポテッと膨らんでます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

拡大したのがこちら↓ 皮膚がすごーく薄くて切れそうなくらい。皺がよってます。皮膚の下の血管がよく見えますね。

クッシング症候群の犬の皮膚、拡大像

皮下組織が薄くなり脆弱になった皮膚は傷つきやすく、

「引っ掻いたら赤くなって治らない」、「毛が生えない」、また甲状腺機能低下症の場合と同様に「膿皮症が治らない」という症状で来院されますね。

4.検査はどんなことをするの?

血液検査とお腹のエコー検査を行います。

血液検査は少し特殊なホルモンの検査をします。最初に採血して、副腎を刺激する注射をし、1時間後にまた採血するという検査、あるいは最初に採血して副腎を抑制する注射をし、8時間後にまた採血する検査の2種類があります。

どちらを選択するかは、病院の状況や動物の性格にもよります。(この検査はストレスの影響を受けるので。ストレスに弱い子ほど不正確な値になりやすいのです。)

お腹のエコー検査では副腎の厚さを見ます。横向きあるいは仰向けでゴロンと寝てもらって、超音波でお腹の中をのぞくものです。痛くも怖いものでもありませんので、安心して受けてくださいね!

超音波検査、アンベットクリニックにて

5.治療は?

検査結果にもよりますが、ほとんどが「下垂体依存性副腎皮質機能亢進症=過形成」というタイプになります。

実はこのタイプ(およそ9割)は、実は脳の下垂体に腫瘍ができることで副腎の異常につながっているのです。。つまり大元は脳にあるので、本当は脳の手術や放射線治療をしなければ根本治療にはなりません。脳の状態を調べるにはCT検査やMRI検査を受ける必要があります。

CT/MRIなどの画像検査、脳の手術は一部の大学病院や大きな病院をご紹介することも可能です。

画像検査や脳の手術や放射線治療までは望まない場合、問題が起きている副腎のホルモンを抑える内服薬を処方して生涯治療を続けることになります。この場合は数ヶ月に1度診断の時と同じようなモニターのための血液検査を行います。

残りの1割は副腎の腫瘍によるものです。血液検査と腹部のエコー検査で判断します。腫瘍は手術をおすすめすることが多いです。大きくなると周りの大事な血管に侵入して血行障害を引き起こしかねないからです。

他に持病があるなどの問題があり手術を望まない場合は、やはり内服薬による治療を行います。治療に反応してくれることもありますが、過形成の場合よりは反応が劣るようです。

犬の皮膚病ー 甲状腺機能低下症 ー

毛が全体的に薄くなってきた。ぽってりと太って寝てることが多い。寒がるなど。。。うちのわんこも年取ったなー。。ちょっと待って!それ病気の可能性も!!

高齢のわんこが治りにくい皮膚病を抱えてやってきた時。。。私達皮膚科医は内分泌性の皮膚疾患を疑うことが多いです。よくあるのがこんな

「膿皮症と言われたんですけど、なかなか治りません」

治療前の様子

という状態。

高齢犬で多い内分泌疾患は

1.甲状腺機能低下症 2.副腎皮質機能亢進症 3.性ホルモン疾患

の3つ。全部調べたらいきなり高額医療!!!私個人的にはこれらぜーんぶ一気に調べてついでにアレルギー検査も入れちゃうなんてのはナンセンス!と思っています😅まあ、人様のやることをあまり批判してはいけないかもしれませんが。。。。。

さて、それでは今日は甲状腺機能低下症の特徴をお話します。

1.どんな病気?

甲状腺は喉のすぐ下の部分にあって、甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官です。

甲状腺ホルモンは代謝を活発にし、筋肉にエネルギ-を供給し、心臓・内臓・皮膚など体のあらゆる部分の活動を調整するという非常に重要な役割を担っています。
何らかの原因で体の活動に必要なだけの甲状腺ホルモンが分泌できなくなった状態を

「甲状腺機能低下症」

と呼びます。この病気は中型犬や大型犬に多い傾向がありますが、小型犬でも発症します。5歳以降の中高齢犬に多いのですが、もっと若い場合もあります。

また、この病気は猫ではほとんど起こりません。

2. どんな症状?

  • 太りやすくなった。・・・特に甲状腺機能低下症の太り方は全体的にぽってりとした太り方!お腹だけじゃなくて、腕とか足とか首とかもな~んとなく。。皮膚もぶ厚いような。。寸胴体型な・・・そんな太り方。
  • 毛が全体的に薄い
  • 毛並みが悪い。子犬みたいなふわふわした毛並み
  • 部分的に毛がない。
  • トリミングの後毛が生えない。
  • 動作がのんびり
  • 顔つきがぼんやりしている。・・「悲しそうな顔貌!なんて表現されます!」
  • 寝ていることが多い。。

まぶたとか、唇とかの皮膚がぼってりすることでこんな表情になっちゃうんじゃないかな。。

でも。。。上の症状のリスト・・・よく見ると。。。

年取ったらそんなの普通じゃん!!

って感じの症状ばかり。。だから見過ごされてることがとっても多いと思う。。

なので最初のように「膿皮症がなかなか治りません!」とかでようやく疑って検査に進むということが多いです。

そのほかに徐脈胆嚢の異常、一般血液検査の異常(高脂血症)などから検査を進めて発見されることもあります。

特徴的なラットテイル

 3.どうしてなるの?

甲状腺機能低下症は、おもに免疫介在性のリンパ球性甲状腺炎と、特発性甲状腺萎縮によって引き起こされます。この病気の一部には、遺伝的要因の関与が考えられていますが、明らかではありません。

また、他の病気が甲状腺ホルモンのはたらきを阻害し、同様の症状を引き起こすことが

あります。ステロイドの飲みすぎで二次的になることもあります!

95%は甲状腺そのものが原因、残り5%ほどは他の病気が原因です。

4.どんな検査をするの?

甲状腺機能低下症の検査は一般血液検査とは別に甲状腺の機能を測定するための血液検査を行います。

詳しく検査するために外注検査(外部の検査センターに血液を送付する)を行う事が多いです。

5.どんな治療をするの?

甲状腺ホルモンのお薬を飲むホルモン補充療法を行います。

他の病気が原因で起こるものを除いては、生涯にわたって治療を続ける必要があります。

治療を開始すると・・

  • 全体的に活気が出てくる
  • 毛が生える
  • 毛並みが良くなる
  • 傷や感染症(膿皮症も含む)の治りが良くなる
  • などの効果が期待できます。

反面、神経過敏、動悸が激しくなるなど薬の効果が予想以上に強く出てしまうことも時折見られます。そのため、特に治療初期は診察や血液検査による検診が必要です。

きちんと治療すれば安全に良い感じでコントロールできることが多いので、しっかり付き合ってあげてくださいね。

治療後の様子。フサフサになりました!

犬と猫の皮膚病   ステロイドって怖い?その2, 外用薬編

皮膚病と言えばステロイド。先に言っておくとステロイド=怖いではありません。私も使います。でも怖さと有益性をよく理解して注意して使いましょう!というお話

「ステロイド」というとどのような印象をお持ちですか?
やはりあまり使いたくないなとか、怖いんじゃないか、とかありますか?

いわゆるステロイドとは体にある副腎という内臓で作られる副腎皮質ホルモンを合成して作ったもので、強い抗炎症作用、抗アレルギー作用を持ち、皮膚病他様々な病気に使われています。

内服薬の副作用

内服(飲み薬)で使う場合は
・糖尿病を起こしやすくなる
・尿量が増える
・太りやすくなる(食欲も亢進する)
などの副作用もあり注意して使う必要があります。

外用(塗り薬)で使用する場合はそういう副作用はほとんど見られず、効かせたい場所にだけ効果的に効くので、皮膚科領域では使用することが多くあります。

一部で噂される「黒くなる」「癖になる」「一生全身に影響が残る」などは、誤解や使い方の悪さによるもので、通院しながら他の療法と組み合わせて上手に用いれば非常に効果的に、心配なく使用することができます。

ところが!!

あまり知られていない外用薬の副作用

「皮膚病ですか?じゃあ、これね。」
と処方されたものを漫然と多量に使い続けた場合には、
今日ご紹介する


「 ステロイド皮膚症 」


になってしまうことがあるかもしれません。外用のステロイドは塗りすぎると皮膚が薄くなってしまうという副作用があります。

次の写真は1日に何回もステロイドの塗り薬を数ヶ月塗っていたケース。

↑ 左は猫さん。痒いところに一生懸命塗るうちに、皮膚が薄くなって孔があいちゃいました🥲

右はわんこですね。

可愛がって一生懸命な飼い主さんの子こそがこれになりやすいです。痒がっているのが可愛そうで一生懸命塗ってしまうからですね😌

これは飼い主さん向けのサイトなので、気をつけましょうね。っていう表現にはなるし、知識を持って注意をしてほしいのですけれど、獣医師側の責任でもありますよね🤔

どうすれば防げるかな?

お薬を出す時に、あれ?こんな頻度でお持ちになるのは少し多くないかな?使いすぎになってないかな?と気にしてあげたり、病変部がステロイド皮膚症になってしまっていることに気がついてあげないといけない。。😟看護婦さんもこのページを見てくれたらちょっと気をつけてみてほしいな!😐

塗り薬を中止し、もっと優しい治療法に変更して数カ月で完治しました。

外用薬のステロイドは上手に使って内服薬を減らすのにとても良いものです。また、慢性化した酷い皮膚病を好転させるのにとても力を発揮します。

でも漫然と使用するのではなく、通院しながら説明どおりに使ってくださいね😌

そして獣医さんは出しすぎ注意です!よろしくおねがいします!🙏

犬の皮膚病・ステロイドって怖い?ー飲み薬の場合 ー

皮膚病と言えばステロイド。先に言っておくとステロイド=怖いではありません。私も使う時あります。でも使い方と減量の努力が必要というお話。。

ステロイドって聞いたことありますよね。多くの方が何だか怖いイメージを持っているのではないでしょうか?

ステロイド=悪ではありません。とても良い大事な薬の一つです。病気の種類によってはそれしか効果がない、それに頼るしか方法がないものなどもあります。

でも有害作用を持っているのも事実。

正しく理解して気をつけて、減量の方法を探りながら上手に使いましょう!

ある症例の紹介

ある日やってきた脱毛症と外耳炎のわんこ。

センター南動物病院にて

中耳炎疑いで発作を起こして以来長くステロイドを継続して使用されていました。

私は最初の診察を診ていないので、きっと最初はステロイドが必要と判断する状況だったのだろうと推測することしかできません。が、その後こんなにも長く同量の継続が必要だったのかというところにはちょっぴり疑問を感じざるを得ませんでした。

上手に減量していきます

外耳炎の治療と並行して、発作がその後ずっと起きていないことを考慮し、諸々飼い主様と連携しながらステロイドの減量を試みました。

そもそもステロイドとは?

ステロイドは俗称で、この場合副腎皮質ホルモン製剤を指します。

よく使用されるステロイド(副腎皮質ホルモン製剤)

こんな薬です。↑

炎症や皮膚病の痒みを抑える目的でよく処方されます。この子の場合のように、脳神経系の浮腫や炎症を疑う場合などにもよく処方されます。

問題は、この薬が痒みや炎症を抑える作用以外に多くの作用を持っているので、時に体にとって有害になってしまうということにあります。

ステロイドの有害作用として

短期的には

  • 飲水量の増加。排尿量の増加
  • 食欲亢進(弱っている子ではメリットのことも!)

がありますが、短期的なら一過性のため、あまり健康上の問題にはなりません。なので短期の使用はあまり心配せず、一時的に必要な薬なんだ!と思って指示通り使ってください。

怖がりすぎずに知っておこう。ステロイドの副作用

長期的に使用した場合、上記の作用の他に

  • 肝腫大
  • それに伴う肝臓系の血液検査の値の上昇
  • 太りやすくなる(お腹がポッテリと太鼓っ腹になるのが特徴です)
  • 骨や筋肉が少なくなる
  • 糖尿病になりやすい
  • 感染症に弱くなる
  • 傷が治りにくい
  • 皮膚が薄くなる
  • 毛が抜ける
  • 皮膚や内臓の石灰化
  • パンティング
ストロイドの長期的投与で特徴的な太鼓腹。皮膚が薄く血管が透けて見える。触るとペラペラに薄い。。。
皮膚には石灰沈着が出来て固くなっています。

など問題が生じてきます。また、毎日連続投与していると、たとえ少量でも自分の副腎が休んで萎縮してしまいます。この場合、突然休薬すると危険です。食欲な全くなくなって、ぐったりしてしまうこともあります。

減量する時の注意

だいたい3週間以上投与している場合は、上記の有害作用を気にする必要がありますし、減量する場合は少し慎重に減量する必要があります。

今回のわんこでも、1回量を増やして間隔を空ける。休薬日に元気がなくなったり食欲がなくなったりしたら、救護薬的にごく少量のステロイドを投与すること。などの配慮をした上で少しづつ間隔を空け、用量を減らして、外耳炎の治療に通院しながら最終的にステロイドを中止することができました。

もちろん病気の種類によっては有害作用には目をつぶり、受け入れ、付き合いながら使い続ける場合もあるかもしれません。が、本当に必要なのか?減量の方法はないのか?については獣医師も常に考えてあげなくてはいけませんよね。😌

良くなりました

数ヶ月を経て、上のわんこはこんなにフサフサになって元気も出ました!!↓ 発作も起きていません!😃

ステロイドから離脱してフサフサになりましたよ!

最近ではアトピー性皮膚炎などの痒い皮膚病に対して新薬が次々と発売されて、皮膚病でこのわんこの様になる子には遭遇しなくなってきました。

10年前は多かったーーー!😅 私の仕事の多くはステロイドからの離脱でした😂

なので、もし知り合いのわんこが皮膚病でステロイドが減らせなくて支障が出ているなんて事があれば、どうぞご紹介ください。安全にステロイドを減らす経験はたくさん持っています。

犬のひふ病 ー マラセチア皮膚炎 ー

マラセチア皮膚炎についての解説。洗ってもすぐベタベタする、臭う、赤い、フケが多い、痒がる。。。。。それはマラセチア皮膚炎かも・・・。

1.マラセチアって何?

マラセチアは酵母菌イーストです。

えっ❓

酵母といえばパン🍞とか、お酒🍶とか作る良いやつのイメージなんだけど?!

実は酵母菌には何百という種類があって、そのうちパンを作る種類、お酒を作る種類など色々に分かれるということです。

”マラセチア”は、その中で犬や人の皮膚の上で増えて、時々皮膚炎を起こすちょっとやっかいな種類というわけ。😠

 人の皮膚の上で・・・、つまり人には人のマラセチアが、犬には犬のマラセチアという風に動物によって相性がある。だから、お家のワンコがマラセチア皮膚炎の診断をされても飼い主さんに移る心配はないです。😌

(獣医生活20◯年ですが、犬からマラセチアが移って困っている飼い主さんにはまだ出会ってません!)

2.どこから移ったのかしら?

”マラセチア”は犬の皮膚の常在菌。常在菌というのは多くの動物が生まれた時から共存している菌のこと。大抵は母犬からいつの間にもらっている。こういう普段から持っていていつもは病原性を発揮しない菌を常在菌と呼びます。

 ところがマラセチアが何らかの原因で通常以上に増殖すると、皮膚に炎症を引き起こすようになる。増殖だけではなくて性質が変化するという説もあります。

この酵母菌は脂分を好みます。

 だから、皮膚のコンディションが脂性に傾く脂漏症の時は急激に増殖する傾向があります。

 こんな風に、普段は病原性を持たない菌が環境によって急激に増殖したり性質を変えたりして、感染症と呼ぶに相応しい病的状態を引き起こすことを、日和見感染と呼びます。

3.どんな皮膚病なの?

 マラセチア皮膚炎は、内股や、指の間足の裏腋の下後ろ肢の曲がる部分口唇周囲のように、皮膚と皮膚が擦れる部分皺になるところに発生しやすいのが特徴。陰部肛門周りも好発部位。

 

症状は・・・

 脂っぽくベタベタしてフケが多くなる。赤くなる。慢性化した皮膚は分厚くなって皺が深くなって、色素沈着して黒っぽくなるなど。独特の脂漏臭・・・「 臭い 」を気にする飼い主さんも多いです。

 痒くて掻くので脱毛する。足先をいつも舐めている。 痒みは比較的強い。外耳炎もよく併発する。茶色っぽい蠟様の耳垢が増えることが多い。。などの訴えがあります。

 病変部が比較的くっきりと他の部分と別れていることがあるのも特徴です。( そうじゃない時もある💦 )

2021-04-08 21.24のイメージ

 マラセチア皮膚炎が疑われる場合、病変部の皮膚にセロハンテープやスライドグラスを押し当てて染色して、顕微鏡で観察します。

 上記の所見と合わせて、細菌よりも大きいボーリングのピンのような特徴的な酵母菌(下の画像の青紫のもの)がたくさん見つかればマラセチア皮膚炎と診断できます。

2021-04-08 21.28のイメージ

4.どうしてなるの?

 生まれつき脂漏性の皮膚をもつ犬種では、体質的にマラセチア皮膚炎になりやすい傾向があります。好発犬種としては、ウェスティ、シーズー、フレンチ・ブルドッグ、パグ、ダックスフンド、プードル、ラブラドール・レトリバー、ビーグル、バセットハウンドなど。

 また、アトピー性皮膚炎食事アレルギー内分泌疾患(ホルモン性の病気)などが背景にあって、皮膚のコンディションが変化して脂漏症になると、マラセチア皮膚炎を発症しやすくなります。

 脂質の代謝異常(コレステロールや中性脂肪の処理がうまくいかない)の病気などでも脂漏性皮膚炎になります。マラセチアは脂分があると増殖が盛んになるので、急激に増殖して病的な状態になってしまいます。

犬から一番よく分離されるM.pachydermatisは以前は好脂性ではないと考えられてきました。でも最近はやっぱり脂が好きだね!っていうのが認識されている。

ちなみに私は学生時代にこの菌を犬の外耳炎からよく培養していたので好脂性だと気づいていました!!(発表すれば良かったかも。。。当時は好脂性ということが臨床家の間では否定されてたから。。。)なので気づいていたというのは。。。。あまり自慢になることではないのかな。。。。😅

憎たらしいやつだけど、コロニーはオフホワイトのちょっとフワッとしたコロニーで可愛いんですよ(笑)

5.どんな治療をするの?

 酵母菌はカビに近い真菌の仲間なので、真菌を殺す薬(抗真菌薬)を使って治します。 

 
 重症の場合は、抗真菌薬を2週間くらい内服してもらいます。その後1週間に2回などの投薬に切り替える場合もあるし、かなり良化していれば中止しましょう。
軽度から中程度の場合は、抗真菌薬を含んだシャンプーなどで薬浴。ゆっくり優しく時間をかけてシャンプーして、その後にはしっかり保湿をする。

マラセブ
メディダームシャンプー

大事な保湿剤

アフロート・モイスチャライズフォーム

上手なシャンプー療法のやり方についてはまたいつか書きますね。

 内服薬は長期になるとちょっと肝臓に負担をかけるので、なるべくシャンプー療法がお薦め。スキンケア商品だから効能を謳えないけれど、マラセチア皮膚炎に併用を薦められる保湿スプレーなんかもあります。

 ちなみに私はそんな保湿スプレーを試してもらって2019年の皮膚科学会の最優秀論文賞を頂きました☺️

 人の食品添加物から作られているものなので、安心です。

シャンプー面倒くさいし、飲み薬は時々肝臓にくるよね。

「日常使いできて安全なもの 」

を探している時に教えてもらったもの。マイルドだけど、時々とっても良い時もあります!!一応、私が調査した範囲では有意差がありました!私が月・火曜日勤務している病院犬・・シーズーのリコちゃんはこれでとっても綺麗になりましたよ!

リゾペールスプレー