はじめに

横浜・三ツ沢のアンベット・クリニックでの症例です。

「背中のブツブツが3ヶ月治らない」というミニチュア・シュナウザーの患者さんが来院されました。すでに3件の動物病院を受診しており、当院が4件目とのこと。来院時には最初よりも症状が悪化していました。

前医の治療を持参してくれました。

これまでの治療経緯

持参いただいた治療歴を確認すると、以下のような経過でした。

  • 外用ステロイド(デルモゾールG:ゲンタマイシン配合)による治療
  • セファレキシン系の抗生剤(テリオス錠)
  • ニューキノロン系抗生剤(→効果なく、別のニューキノロン系に変更)
  • アレルギーを疑い、ステロイドを追加

デルモゾールGはゲンタマイシンの抗菌作用とステロイドの抗炎症作用を組み合わせた薬で、軽度の皮膚炎には標準的な選択肢のひとつです。抗生剤を試すこと自体も、よくある対応です。

ただ、あるニューキノロン系抗生剤が効かなかった場合に、別のニューキノロン系に変更しても効果が出る可能性は低く、この時点で培養検査や専門的な診察への切り替えを検討できたかもしれません。

当院での診察・検査

まず皮膚検査を一通り実施しました。

  • ニキビダニ(毛包虫):陰性
  • 皮膚糸状菌:陰性
  • 薬剤感受性試験:実施済み

検査の結果と皮膚の状態から、「ミニチュア・シュナウザーの面皰症候群(コメド症候群)」 と診断しました。

大事なのは、

「考えられる疾患名を挙げて今後の見通しを説明すること」と、スキンケア

ですね。

面皰症候群とは

ミニチュア・シュナウザーに好発する皮膚疾患で、背中の正中線に沿って毛包が詰まり、黒いコメド(いわゆる”黒ニキビ”のようなもの)や丘疹が連なって生じるのが特徴です。

細菌感染が主な原因ではないため、抗生剤が効きにくく、ステロイドも根本的な解決にはなりません。適切なスキンケアが治療の中心になります。

ミニチュアシュナウザーの背中に生じた面皰症候群のブツブツ(コメド)

治療と経過

抗生剤は使用せず、スキンケアの方法を指導・変更したところ、2週間でかなりの改善が見られました。現在は引き続きスキンケアで経過観察中です。

まとめ・先生からひとこと

3〜4ヶ月、3件の病院を回っても治らなかった症状が、病名をきちんと説明してスキンケアを変えるだけで改善に向かうことがあります。「何の病気なのか」を説明することと、正しいスキンケアの指導——これがこの疾患では特に大切です。

儲からない診療してるな、と思うこともありますが😅、こういう経過をたどる症例に出会えるのが専門外来の醍醐味でもあります。

それにしても、「塗り薬を出されたけど治らない」という相談は後を絶ちません。出している先生方は治した実績があるから出しているのだろうし、なかにはとても勉強熱心で信頼できそうな先生でもビクタスを処方していることがあって……何でだーっ!ってなります🧐

膿皮症のガイドラインでも外用ステロイドは推奨されていないのですが、この辺り、本当に不思議で。否定したいわけじゃなく、純粋に気になっています。

ビクタスクリーム出されたけど治らない →


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