数ヶ月前に新しく迎えた元野良猫の皮膚がボロボロとのことで来院されました。一見するとアレルギーのような皮疹分布でしたが、皮膚検査をしてみると…なんと疥癬ダニが検出されました。「東京や横浜には疥癬なんていない」は大きな誤解です。 

横浜市神奈川区のアンべットクリニックの患者さんです。ここは大きな公園のそばののんびりした住宅街ではありますが、横浜駅から徒歩圏内のお話です!

猫のお顔
お顔

受診時の様子

病院のごく近所に住んでいる気のいい飼い主様。昔ながらの感じで何頭かの猫さんをお外にも出して飼っています。今回数ヶ月前に新しく飼い始めた猫さん(元野良猫さん!)の皮膚がボロボロだということで、連れていらっしゃいました。

疥癬による皮膚病変(腹部)
お腹
疥癬で舐め壊した猫の腰部
猫、舐め壊し。腰
尾(フケ)疥癬によりフケが多い猫の尾
猫さん。尾のフケが多くて痒がっています

一見すると食事アレルギーを疑うような発疹分布なんです。耳介には病変が全然ありません。ただ、尾っぽにすごくフケの多い所があって、アレルギーにしては変だなと思いました。

痒がってますか?と聞くと、「掻いてるところは見ていません」というお返事だったのですが。。。。

念の為、皮膚検査をすることにしました。

皮膚検査の結果―疥癬ダニを検出

すると・・・・

顕微鏡で確認した猫の疥癬ダニ
猫の疥癬
疥癬の親ダニと卵(顕微鏡画像)
親ダニと卵
卵の中の幼ダニ(顕微鏡画像)
卵の中には幼ダニが!

疥癬でした!

 

タヌキから感染した?―都市部でも油断できない理由

「こないだまで外にいたからどこかでうつってきたんでしょうね。隣町の白楽には疥癬の狸がいて餌付けをしているお家があったらしく、そのお家の近所のワンちゃんが疥癬になったこともあるんですよ」と数年前の経験を話しました。

すると・・・・

皮膚がボロボロのタヌキを近所で見たわ!

というお話でした!!びっくり😲

白楽もですが、ここ三ツ沢も横浜駅徒歩圏内です!!(少し遠いけどね)

三ツ沢には豊顕寺の森という森がありますし、有名な高校の校庭裏は林と人が入らない草ボウボウの土手があります。

三ツ沢には豊顕寺の森という森がありますし、有名な高校の校庭裏は林と人が入らない草ボウボウの土手があります。

横浜市神奈川区・豊顕寺市民の森
豊顕寺市民の森

横浜って自然も多いんですよね。

思えば東京都府中市の東京農工大学の皮膚科診療に出ていた頃も大学病院に疥癬のワンちゃんが何頭も来ましたっけ。。

フケがいっぱいの所を皮膚検査するとフケにダニやダニの卵が含まれていて見つけられることが多くあります。でも、先にシャンプー療法とか散々やって綺麗にしてしまうと検出率が下がるんですよね。。。

大学病院では中々診断が付かずに病理検査までやってようやく分かったケースなんてのもありました。。。。他の犬とほとんど接触がないと言っていたワンちゃんも疥癬だったことがあるんです。

東京にも新宿御苑や代々木公園、砧公園、皇居、上野恩賜公園、青山公園、井の頭公園、葛西臨海公園とか明治神宮とか。。。大きな公園や森!!たくさんありますよね。

タヌキ!

疥癬感染源となりうるタヌキ
タヌキさん

いると思います!

そしてタヌキが疥癬になると、群れに広がるし、駆虫薬とかも中々難しいから根絶しにくいんじゃないかしら。そしてそんなタヌキから疥癬がおそらくは環境(猫の餌場やゴミ捨て場など?)を介して犬や猫にうつることが推測されています。岐阜の方の研究ですが、疥癬の犬から採取した疥癬ダニとその付近で捕獲したタヌキの疥癬ダニのDNAが一致したという研究があります。(Vet Parasitol. 2015 Sep 15;212(3-4):356-60. , Coexistence of two different genotypes of Sarcoptes scabiei derived from companion dogs and wild raccoon dogs in Gifu, Japan: The genetic evidence for transmission between domestic and wild canids, Ryota Matsuyama et al.)

友人から疥癬と思われるタヌキの画像を頂きました。↓

疥癬と思われる症状のタヌキ(横浜市内で撮影)

例えば東京のたぬきについてはこんな調査をしている方もいます。→東京たぬき探検隊

たぬきさんは実は我が家(横浜!)の前のゴミ捨て場に夜現れたこともあるんですよ!都内にも普通にたくさんいるんですよ。でも上手く付き合って平和に共存したいですよね。私は野生動物も大好きなんです。

感染リスクと注意点

疥癬は皮膚から離れると3日くらいしか生きられないのでそんなに簡単にはうつらないとされています。それは間違ってないんですけれど・・・逆に言えば草むらとか、ペット同伴OKの大きいデパートのカゴに敷いてあったペットシーツとか、他のワンちゃん(実は疥癬だったとしたら。。)が遊んだ後のサークルとかから・・・

**3日以内ならうつってしまう可能性があるということです。**また、論文を探してみると温度や湿度が最適だと10日以上も感染力が持続したという報告もあります。

最も最近のノミ・マダニ予防薬は疥癬にも効果があるものが多いので減少傾向だとは思います。

でも・・・。

洗っちゃう前に皮膚検査!!😣 しましょうね!!

治療後に改善した猫の腰部
良くなった腰
治療後に毛が生えてきた猫の尾
毛が生えてきた尾

良くなりました!良かったね😀

まとめ

東京・横浜などの都市部でも、公園や緑地にタヌキは普通に生息しています。元野良猫や外出する猫はもちろん、お散歩中のワンちゃんも疥癬と無縁ではありません。フケが多い、尾に病変があるなど気になる症状があれば、シャンプーをする前にまず皮膚検査を。早期発見が回復への近道です。

疥癬についての詳しい解説はこちら→ 疥癬について

この症例の病院はこちら→ アンベットクリニック

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