ステロイド=怖い、というイメージを持っている飼い主さんは多いですよね。でもステロイドは正しく使えばとても頼れる薬です。この記事では副作用の内容と、長期投与になった場合の減量の考え方について解説します。
ステロイドって聞いたことありますよね。多くの方が何だか怖いイメージを持っているのではないでしょうか?
ステロイドとは?
ステロイドは俗称で、正式には副腎皮質ホルモン製剤といいます。炎症や痒みを抑える目的でよく処方されるほか、脳神経系の浮腫や炎症が疑われる場合にも使用されます。

ステロイド=悪ではありません。病気の種類によってはこれしか効かないものもある、とても大切な薬のひとつです。ただし有害作用があるのも事実なので、正しく理解して上手に使うことが大切です。
ステロイドの副作用
短期的な副作用(一過性のため通常は健康上の問題になりません)
- 飲水量・排尿量の増加
- 食欲亢進(弱っている子にはメリットになることも)
長期的な副作用(3週間以上の継続投与で注意が必要)
- 肝腫大・肝臓の血液検査値の上昇
- 太りやすくなる(お腹だけポッテリと太鼓っ腹になるのが特徴)
- 骨・筋肉量の低下
- 糖尿病リスクの上昇
- 感染症への抵抗力低下
- 傷が治りにくい
- 皮膚が薄くなる・毛が抜ける
- 皮膚や内臓の石灰化
- パンティングの増加

また毎日連続投与していると、たとえ少量でも自分の副腎が萎縮してしまいます。この場合に突然休薬すると食欲がなくなりぐったりしてしまうことがあるので注意が必要です。
減量するときの注意
3週間以上投与している場合は、副作用を念頭に置きつつ慎重に減量する必要があります。1回量を増やして間隔を空ける、休薬日に元気・食欲がなくなったらごく少量を救護薬として投与するなど、段階的に進めていきます。
もちろん病気の種類によっては副作用と付き合いながら使い続ける場合もあります。でも「本当に今の量が必要か」「減量できないか」は獣医師も常に考え続けるべきことだと思っています。
アトピー性皮膚炎では低用量を3日に1度程度で管理できることが多く、その場合は副作用はほとんど問題になりません。また近年は新薬(アポキル・サイトポイントなど)が増えたことで、ステロイドに頼る場面は以前より大幅に減っています。
症例紹介:長期投与からの離脱
脱毛症と外耳炎で来院したわんこ。中耳炎疑いの発作をきっかけに、長い間ステロイドを同量で継続されていました。
きっと最初はステロイドが必要な状況だったのだろうと思いますが、その後これほど長く同量の継続が本当に必要だったかというところには疑問を感じました。
外耳炎の治療と並行して、その後発作が起きていないことを飼い主様と確認しながら、ステロイドの減量を慎重に進めました。


良くなりました
数ヶ月を経て、上のわんこはこんなにフサフサになって元気も出ました!!↓ 発作も起きていません!😃

最近ではアトピー性皮膚炎などの痒い皮膚病に対して新薬が次々と発売されて、皮膚病でこのわんこの様になる子には遭遇しなくなってきました。
10年前はとても多かったです😅 私の仕事の多くはステロイドからの離脱でした😂
ステロイド薬の一番良いところは、古い薬なので安いことです。(特許とかとの関係?)アポキルと比べると1/5ー1/3 くらいの値段で処方されることがほとんどです。大型犬では薬の必要量が多くなることから新しい薬群はかなり高額になり、ステロイドに頼るしかない場合もあります。
それでも、アトピー性皮膚炎に使用する場合、多くは低用量を3日に1度程度でコントロールできるため、副作用は問題になりません。
ステロイドを切ることができたアトピー性皮膚炎のわんちゃんの例はこちら →
🐾 著者のコラムはこちら → note:獣医さんの徒然なるままに
