犬のクッシング症候群

全体的に毛が薄くなってきた、お腹だけポッテリしてきた、水をよく飲む、皮膚病が繰り返す——高齢犬のこんな症状が重なるときは、ホルモンの病気が隠れているかもしれません。この記事では高齢犬に多い内分泌疾患のひとつ、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の特徴・症状・検査・治療について解説します。

クッシング症候群の特徴

高齢になってから皮膚病が治らない。それに加えて以下のような症状が重なるようであれば、「クッシング症候群=副腎皮質機能亢進症」の可能性があります。

  • 傷が治りにくい
  • お腹がポッテリと太鼓っ腹になってきた
  • 食欲がすごい
  • 水をよく飲む
  • ハァハァすること(パンティング)が増えた
  • おしっこが多い
  • 皮膚が薄い
犬のクッシング症候群の全体像

高齢犬のホルモン関連皮膚病の2大原因に「甲状腺機能低下症」と「クッシング症候群」があります。どちらも太りやすくなるのが特徴ですが、太り方や皮膚の感じが違います。どっちも毛の抜け方は割と似ていますが。。。

  • 甲状腺機能低下症:皮膚は厚い。全体的に寸胴な太り方。のんびりしている。
  • クッシング症候群:皮膚は薄い。お腹だけポテッと太鼓っ腹になる。活動的で食欲旺盛。

症状

クッシング症候群では、皮下組織が薄く脆弱になった皮膚が傷つきやすくなります。「引っ掻いたら赤くなって治らない」「毛が生えない」「膿皮症が繰り返す」といった症状で来院されることが多いです。

飲水量の増加も特徴的なサインです。犬の平均的な飲水量は1日60ml/kg程度ですが、クッシングでは100ml/kg前後になることがあります。5kgの犬が1日に500mlのペットボトルを飲み干すくらいなら明らかに異常です。

飲水量が増える原因は他にも糖尿病・腎臓病・利尿剤・ステロイド投与などがありますので、気になる場合は24時間でどのくらい飲んでいるか計量カップで測ってみてください。

クッシングの時の典型的なお腹の様子はこちら↓ お腹だけポテッと膨らんでます。

拡大したのがこちら↓ 皮膚がすごーく薄くて切れそうなくらい。皺がよってます。皮膚の下の血管がよく見えますね。

皮下組織が薄くなり脆弱になった皮膚は傷つきやすく、

「引っ掻いたら赤くなって治らない」、「毛が生えない」、また甲状腺機能低下症の場合と同様に「膿皮症が治らない」という症状で来院されますね。

検査について

血液検査と腹部エコー検査を行います。

血液検査はホルモンの特殊な検査で、最初に採血して副腎を刺激する注射をし1時間後に再度採血する方法と、副腎を抑制する注射をして8時間後に再採血する方法の2種類があります。どちらを選ぶかは病院の状況や動物の性格(ストレスの影響を受けやすい検査なので)によって判断します。

最近では尿検査でこの病気を除外するという方法もあります。検査はどの検査も100%ということはありませんので、組み合わせて総合的に判断します。

腹部エコー検査では副腎の大きさを確認します。横向きや仰向けでゴロンと寝てもらいながら超音波でお腹の中を見るだけですので、痛くも怖いものでもありません。

エコー風景

治療について

検査結果によりますが、クッシング症候群のおよそ9割は「下垂体依存性副腎皮質機能亢進症」というタイプです。脳の下垂体に腫瘍ができることで副腎の異常につながっているため、根本治療には脳の手術や放射線治療が必要になります。CT・MRI検査や手術が必要な場合は大学病院や専門施設をご紹介することも可能です。

画像検査や脳の手術を望まない場合は、副腎のホルモンを抑える内服薬を生涯継続する治療を行います。数ヶ月に1度、血液検査でモニタリングしながら管理していきます。

残りの1割は副腎腫瘍によるものです。腫瘍は周囲の血管に侵入して血行障害を起こすリスクがあるため、手術をおすすめすることが多いです。手術が難しい場合は内服薬での治療となりますが、下垂体依存性のタイプより反応がやや劣ることがあります。

残りの1割は副腎の腫瘍によるものです。血液検査と腹部のエコー検査で判断します。腫瘍は手術をおすすめすることが多いです。大きくなると周りの大事な血管に侵入して血行障害を引き起こしかねないからです。

他に持病があるなどの問題があり手術を望まない場合は、やはり内服薬による治療を行います。治療に反応してくれることもありますが、過形成の場合よりは反応が劣るようです。

まとめ

クッシング症候群は早期に発見して適切に管理することで、生活の質を保ちながら長く付き合っていける病気です。高齢犬で気になる症状があればお気軽にご相談ください。

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