犬のひふ病 ー マラセチア皮膚炎 ー

マラセチア皮膚炎についての解説。洗ってもすぐベタベタする、臭う、赤い、フケが多い、痒がる。。。。。それはマラセチア皮膚炎かも・・・。

1.マラセチアって何?

マラセチアは酵母菌イーストです。

えっ❓

酵母といえばパン🍞とか、お酒🍶とか作る良いやつのイメージなんだけど?!

実は酵母菌には何百という種類があって、そのうちパンを作る種類、お酒を作る種類など色々に分かれるということです。

”マラセチア”は、その中で犬や人の皮膚の上で増えて、時々皮膚炎を起こすちょっとやっかいな種類というわけ。😠

 人の皮膚の上で・・・、つまり人には人のマラセチアが、犬には犬のマラセチアという風に動物によって相性がある。だから、お家のワンコがマラセチア皮膚炎の診断をされても飼い主さんに移る心配はないです。😌

(獣医生活20◯年ですが、犬からマラセチアが移って困っている飼い主さんにはまだ出会ってません!)

2.どこから移ったのかしら?

”マラセチア”は犬の皮膚の常在菌。常在菌というのは多くの動物が生まれた時から共存している菌のこと。大抵は母犬からいつの間にもらっている。こういう普段から持っていていつもは病原性を発揮しない菌を常在菌と呼びます。

 ところがマラセチアが何らかの原因で通常以上に増殖すると、皮膚に炎症を引き起こすようになる。増殖だけではなくて性質が変化するという説もあります。

この酵母菌は脂分を好みます。

 だから、皮膚のコンディションが脂性に傾く脂漏症の時は急激に増殖する傾向があります。

 こんな風に、普段は病原性を持たない菌が環境によって急激に増殖したり性質を変えたりして、感染症と呼ぶに相応しい病的状態を引き起こすことを、日和見感染と呼びます。

3.どんな皮膚病なの?

 マラセチア皮膚炎は、内股や、指の間足の裏腋の下後ろ肢の曲がる部分口唇周囲のように、皮膚と皮膚が擦れる部分皺になるところに発生しやすいのが特徴。陰部肛門周りも好発部位。

 

症状は・・・

 脂っぽくベタベタしてフケが多くなる。赤くなる。慢性化した皮膚は分厚くなって皺が深くなって、色素沈着して黒っぽくなるなど。独特の脂漏臭・・・「 臭い 」を気にする飼い主さんも多いです。

 痒くて掻くので脱毛する。足先をいつも舐めている。 痒みは比較的強い。外耳炎もよく併発する。茶色っぽい蠟様の耳垢が増えることが多い。。などの訴えがあります。

 病変部が比較的くっきりと他の部分と別れていることがあるのも特徴です。( そうじゃない時もある💦 )

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 マラセチア皮膚炎が疑われる場合、病変部の皮膚にセロハンテープやスライドグラスを押し当てて染色して、顕微鏡で観察します。

 上記の所見と合わせて、細菌よりも大きいボーリングのピンのような特徴的な酵母菌(下の画像の青紫のもの)がたくさん見つかればマラセチア皮膚炎と診断できます。

2021-04-08 21.28のイメージ

4.どうしてなるの?

 生まれつき脂漏性の皮膚をもつ犬種では、体質的にマラセチア皮膚炎になりやすい傾向があります。好発犬種としては、ウェスティ、シーズー、フレンチ・ブルドッグ、パグ、ダックスフンド、プードル、ラブラドール・レトリバー、ビーグル、バセットハウンドなど。

 また、アトピー性皮膚炎食事アレルギー内分泌疾患(ホルモン性の病気)などが背景にあって、皮膚のコンディションが変化して脂漏症になると、マラセチア皮膚炎を発症しやすくなります。

 脂質の代謝異常(コレステロールや中性脂肪の処理がうまくいかない)の病気などでも脂漏性皮膚炎になります。マラセチアは脂分があると増殖が盛んになるので、急激に増殖して病的な状態になってしまいます。

犬から一番よく分離されるM.pachydermatisは以前は好脂性ではないと考えられてきました。でも最近はやっぱり脂が好きだね!っていうのが認識されている。

ちなみに私は学生時代にこの菌を犬の外耳炎からよく培養していたので好脂性だと気づいていました!!(発表すれば良かったかも。。。当時は好脂性ということが臨床家の間では否定されてたから。。。)なので気づいていたというのは。。。。あまり自慢になることではないのかな。。。。😅

憎たらしいやつだけど、コロニーはオフホワイトのちょっとフワッとしたコロニーで可愛いんですよ(笑)

5.どんな治療をするの?

 酵母菌はカビに近い真菌の仲間なので、真菌を殺す薬(抗真菌薬)を使って治します。 

 
 重症の場合は、抗真菌薬を2週間くらい内服してもらいます。その後1週間に2回などの投薬に切り替える場合もあるし、かなり良化していれば中止しましょう。
軽度から中程度の場合は、抗真菌薬を含んだシャンプーなどで薬浴。ゆっくり優しく時間をかけてシャンプーして、その後にはしっかり保湿をする。

マラセブ
メディダームシャンプー

大事な保湿剤

アフロート・モイスチャライズフォーム

上手なシャンプー療法のやり方についてはまたいつか書きますね。

 内服薬は長期になるとちょっと肝臓に負担をかけるので、なるべくシャンプー療法がお薦め。スキンケア商品だから効能を謳えないけれど、マラセチア皮膚炎に併用を薦められる保湿スプレーなんかもあります。

 ちなみに私はそんな保湿スプレーを試してもらって2019年の皮膚科学会の最優秀論文賞を頂きました☺️

 人の食品添加物から作られているものなので、安心です。

シャンプー面倒くさいし、飲み薬は時々肝臓にくるよね。

「日常使いできて安全なもの 」

を探している時に教えてもらったもの。マイルドだけど、時々とっても良い時もあります!!一応、私が調査した範囲では有意差がありました!私が月・火曜日勤務している病院犬・・シーズーのリコちゃんはこれでとっても綺麗になりましたよ!

リゾペールスプレー

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