春です。マダニの季節です。。マダニって何?怖い?どうして?

どんな生き物なのー?ほんとの姿。見つけ方から症例のご紹介、取り方、予防法などなどなど

ある日ある動物病院にお顔が傷だらけの大きなワンコがやってきました。今日は狂犬病のお注射の日。

っていうか、ほっぺたに薄茶色のイボみたいなものが。。。

ペコ: あれ?これはどうしました?

飼い主様:春になるといつもこういうのが出来るんだよ。自然に取れるんだ。

ペコ: ちょっと待ってください。よく見せてくださいね。。。

じゃ、じゃーん。って、最近老眼が入ってきて細かい部分がよく見えないんですよね。そして同じくよく見えない飼い主様。。。あるあるです。。(結構ご年配のおじさまでしたの。)そんな時はこれ!!

秘密兵器

こんな感じで使用します。

スマホに付けて拡大!!

↑ お気に入りのスローが拡大されているのが分かりますでしょうか?

皮膚病変や何か説明するのに大変重宝しております。

そう、マダニです。

ペコ: イボじゃなくて「マダニ」ですよ、これ。マダニ=虫です。くっついて血を吸ってるんですよ。お庭に落ちてすごい増えちゃいますよ。

以下説明

「マダニは血をたっぷり吸うとこんな風に小豆大になるんですが、最初はもう少し小さいんです。色もワンちゃんの毛と似てるから最初小さくて埋もれてると分かんなかったかもしれないですけど、お散歩とかでもらってきて毎年ついてたんだと思いますよ。病気移されたりもするから予防してつかないようにした方が良いですよ。これは取りましょうね。上手にやらないと頭だけ残っちゃいますから。。予防は簡単です。毎月1回予防薬をあげるだけです。食べるタイプの薬か付けるタイプの薬が選べますよ。毎年こうなってるなら、それより少し早めから、この辺りだと最近は暖かいので12月くらいまで1ヶ月に1回のお薬だけで予防できますよ。」

もう少しちゃんとした説明が読みたい方は後で→

ピンセットで取って、保存させていただきました。。

今までマダニ予防をしたことがなかったんですって!今度から予防薬をあげてもらえるようになりました

少し詳しいマダニのお話

関東でよく見られるのはフタトゲチマダニとクリイロコイタマダニ、というのはマニアックな話で飼い主様的にはどちらも同じようなものと思ってもらえれば良いです。ダニにも色々あって、ハウスダストのダニとかはほとんど目に見えないくらい小さいし、植物に付くダニとかはやっと目に見えるくらいの大きさ。

で、マダニの成虫は結構大きいです。血を吸うとちょうど小豆くらいの大きさになります。今回のように何か付いてますとか、できものが出来ましたとおっしゃって連れて来られるケースも何度もありました。血でお腹がパンパンになると足も頭もよく分からないですよね。毛に埋もれてますし。。

この成虫は雌ダニ1匹が何と1000個くらい卵を産むそうです。そこから小さな幼いダニが孵り、この子?達もまた血を吸います。予防が大分一般的になってきましたので、かなり昔の話にはなりますが(15年くらい前かも。。)可愛いトイ・プードルの四肢端に1mmくらいの幼ダニがびっしり付いていたこともありました。幼ダニはお腹がいっぱいになると下に落ちて脱皮して、また動物について。。。と、2回脱皮して成虫になります。

どこでうつるの?

主に草むらではないかと言われています。草の先端に上って動物を待っているとのことです。

何が問題になる?

血を吸うので小さな子にあまりにたくさんのダニが付けば貧血の可能性も。。。(でも実際にそこまで放置されていた子には出会ったことがありませんが、可能性はなくはないですね。。)

それよりも近年話題になっている致死率10-30%にもなるというSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を媒介するのがこのマダニなんです。というか「近年話題に」なっていないですかね?それはマスコミが飽きてしまったからであって(多分)毎年100人程度の感染例が報告されています。→ 国立感染症研究所h.p.

これによると幸い死亡率は減少傾向にあるようですね!

特に暖かい地域 ー日本だと南西の方ですねー では発生が多いです。SFTS以外にもいくつかの伝染病を媒介します。またマダニは吸血する時、返のついた鋸のような口吻を突き刺して、その周りを何とセメント質で固めて簡単には抜けないようにして、10日くらい血を吸い続けるんです。腹の部分を乱暴につまんで引っ張ってしまうと、ダニの唾液が体内に押し込まれてしまいますし、頭だけ残って炎症を起こしたりします。

頭の部分を丁寧につまんで少し皮膚がくっついてくるくらいにして取らないといけません。まぶたや唇のように柔らかいところでは鎮静をかけて切開するなどの処置が必要になることもあります。

まとめ

山や草むらに行く時、人は長袖長ズボン、犬や猫は予防を心がけましょう!

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