毛が全体的に薄くなってきた。ぽってりと太って寝てることが多い。寒がるなど。。。うちのわんこも年取ったなー。。ちょっと待って!それ病気の可能性も!!

高齢のわんこが治りにくい皮膚病を抱えてやってきた時。。。私達皮膚科医は内分泌性の皮膚疾患を疑うことが多いです。よくあるのがこんな

「膿皮症と言われたんですけど、なかなか治りません」

治療前の様子

という状態。

高齢犬で多い内分泌疾患は

1.甲状腺機能低下症 2.副腎皮質機能亢進症 3.性ホルモン疾患

の3つ。全部調べたらいきなり高額医療!!!私個人的にはこれらぜーんぶ一気に調べてついでにアレルギー検査も入れちゃうなんてのはナンセンス!と思っています😅まあ、人様のやることをあまり批判してはいけないかもしれませんが。。。。。

さて、それでは今日は甲状腺機能低下症の特徴をお話します。

1.どんな病気?

甲状腺は喉のすぐ下の部分にあって、甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官です。

甲状腺ホルモンは代謝を活発にし、筋肉にエネルギ-を供給し、心臓・内臓・皮膚など体のあらゆる部分の活動を調整するという非常に重要な役割を担っています。
何らかの原因で体の活動に必要なだけの甲状腺ホルモンが分泌できなくなった状態を

「甲状腺機能低下症」

と呼びます。この病気は中型犬や大型犬に多い傾向がありますが、小型犬でも発症します。5歳以降の中高齢犬に多いのですが、もっと若い場合もあります。

また、この病気は猫ではほとんど起こりません。

2. どんな症状?

  • 太りやすくなった。・・・特に甲状腺機能低下症の太り方は全体的にぽってりとした太り方!お腹だけじゃなくて、腕とか足とか首とかもな~んとなく。。皮膚もぶ厚いような。。寸胴体型な・・・そんな太り方。
  • 毛が全体的に薄い
  • 毛並みが悪い。子犬みたいなふわふわした毛並み
  • 部分的に毛がない。
  • トリミングの後毛が生えない。
  • 動作がのんびり
  • 顔つきがぼんやりしている。・・「悲しそうな顔貌!なんて表現されます!」
  • 寝ていることが多い。。

まぶたとか、唇とかの皮膚がぼってりすることでこんな表情になっちゃうんじゃないかな。。

でも。。。上の症状のリスト・・・よく見ると。。。

年取ったらそんなの普通じゃん!!

って感じの症状ばかり。。だから見過ごされてることがとっても多いと思う。。

なので最初のように「膿皮症がなかなか治りません!」とかでようやく疑って検査に進むということが多いです。

そのほかに徐脈胆嚢の異常、一般血液検査の異常(高脂血症)などから検査を進めて発見されることもあります。

 3.どうしてなるの?

甲状腺機能低下症は、おもに免疫介在性のリンパ球性甲状腺炎と、特発性甲状腺萎縮によって引き起こされます。この病気の一部には、遺伝的要因の関与が考えられていますが、明らかではありません。

また、他の病気が甲状腺ホルモンのはたらきを阻害し、同様の症状を引き起こすことが

あります。ステロイドの飲みすぎで二次的になることもあります!

95%は甲状腺そのものが原因、残り5%ほどは他の病気が原因です。

4.どんな検査をするの?

甲状腺機能低下症の検査は一般血液検査とは別に甲状腺の機能を測定するための血液検査を行います。

詳しく検査するために外注検査(外部の検査センターに血液を送付する)を行う事が多いです。

5.どんな治療をするの?

甲状腺ホルモンのお薬を飲むホルモン補充療法を行います。

他の病気が原因で起こるものを除いては、生涯にわたって治療を続ける必要があります。

治療を開始すると・・

  • 全体的に活気が出てくる
  • 毛が生える
  • 毛並みが良くなる
  • 傷や感染症(膿皮症も含む)の治りが良くなる
  • などの効果が期待できます。

反面、神経過敏、動悸が激しくなるなど薬の効果が予想以上に強く出てしまうことも時折見られます。そのため、特に治療初期は診察や血液検査による検診が必要です。

きちんと治療すれば安全に良い感じでコントロールできることが多いので、しっかり付き合ってあげてくださいね。

その他の内分泌疾患→ クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)はこちらから→, 性ホルモン関連性皮膚疾患の1例はこちらから →

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“犬の皮膚病ー 甲状腺機能低下症 ー” への1件のコメント

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