シーズーのお耳がベタベタで痒い!臭う!どうやって治す?シーズーさんは生まれつき脂漏症の体質。外耳炎は皮膚病の一種なので、皮膚が悪い時は耳も悪くなるんです。でもお耳を治すと皮膚も治るということもあります。麻酔で耳を洗うって本当?
アンベット・クリニックの患者さんです。
なんと、どこからかこのホームページを見つけて来てくださった患者さんです。
8歳のシーズーの男の子です。6歳頃から皮膚病を繰り返しており、この5ヶ月ほど他院で毎月のように外耳炎の治療を受けていたものの改善しないということで来院されました。こういった長期間治らないワンちゃんをよく診ています。何とか治してあげたいと思いました。
今まで行っていた治療はオスルニアを月に1回投与するというものでした。この子はお耳を触られることをとても嫌がって暴れるため、それが精一杯だったようです。
そのほかにステロイドやアポキルも試みたものの、あまり効果がなかったようです。腋の下のみ皮膚病があり、こちらはマラセチアが多数確認されました。(マラセチアについてはこちら →)
一方、耳垢にはマラセチアはいませんでした。オスルニアは部分的には(マラセチアに対しては)効いていたのかもしれません。
さて、そもそも「オスルニア」とはどのようなお薬でしょうか?
添付文書によると、炎症を抑える「ベタメサゾン」、細菌を抑える「フロルフェニコール」、マラセチアなどの真菌を抑える「テルビナフィン」の合剤で、1週間ずつ2回投与すると1ヶ月間効果が持続します。その後1度洗浄して治療を終了するというお薬です。今回は、その基本的な治療手順すら十分に行われていなかったことがわかりました。
アレルギーの関与や食事管理など検討すべき課題はいくつかありましたが、まずは主訴である耳の治療をきちんと行うことにしました。
耳はほとんど見せてもらえない状態です。全体的に脂っぽくフケが多く、毛はぼうぼうで汚れがたくさん絡みついています。耳介(耳のひらひらの部分)はシワシワになっており、赤みや黒ずみが見られます。典型的な慢性外耳炎の所見です。
1週間前にオスルニアを1回投与しているとのことでしたので、相談の上でもう一度オスルニアを投与し、2週間後に洗浄を試みることにしました。
1週間後、オトスコープで観察してみます。
こういった状態で洗浄もせずに治療を終了していたのでは、改善しないのも当然です。何とか洗浄を試みましたが、まだ腫れがひどく嫌がるため、十分な処置ができませんでした。そこで次の計画として、炎症を抑える内服薬を使用しながら、ご自宅でも短時間作用型の点耳薬を1日おきに点耳していただき(ステロイドの影響を軽減するため隔日投与としています)、1週間後に鎮静下でしっかりと耳洗浄を行うことにしました。
この状態を見ていただければ、鎮静をかけてでも洗浄が必要な理由をご理解いただけると思います。
1週間後、血液検査も問題なく、鎮静下での耳洗浄を実施しました。
洗浄前後の様子をご覧ください。↓ 左が洗浄前、右が洗浄後です。
随分きれいになりました。奥の汚れと毛の塊を丁寧に除去し、生理食塩水で画像を確認しながら洗浄していきます。こうすることで点耳薬の効果が格段に高まりますし、何より外耳道の皮膚そのものが「治る」方向に向かいます。余分なものを除去することは創傷治癒の基本でもあります。
2週間後、耳垢が少々出てきてはいますが、鼓膜が見えるほど腫れが引いていました。この頃には腋の下の皮膚もきれいになっていました。
その後も2回ほど軽い鎮静下での耳洗浄を繰り返しました。押さえつけて処置する方法をとる施設もありますが、その方が動物への負担が大きいと考えており、健康状態に問題がなければ相談の上で鎮静を行っています。処置中は眠っているため本人の苦痛も少なく、拮抗薬を投与すれば歩いて帰れる程度に回復します。改善とともに鎮静の時間もどんどん短くなっていきます。
初診から2ヶ月が経過し、耳介もこんなにきれいになりました。
2ヶ月半が経過しました。多少耳垢は見られますが、正常な耳垢に変わってきています。この頃には以前と比べてお耳を触らせてくれるようになり、現在はスタッフが軽く保定するだけで無麻酔での洗浄が可能になっています。
内服薬も終了しました。現在は数日に1度の抗炎症薬の点耳を継続中ですが、徐々に間隔を延ばしていける見込みです。
**「会えてよかった」**とおっしゃっていただけました。こちらこそ、よかったです。
