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犬の皮膚病・ホットスポット – Hot Spot –

急に痒がって真っ赤に!ずっと掻いている!じくじく!液が出てきた!一晩で赤むけに!脱毛!

さて、今日はじめじめして&暑くなってくるこの季節に多くなる皮膚病を紹介します。それはHotspot(ホットスポット)と呼ばれる皮膚病。

症状

日本語では急性湿性皮膚炎なんて呼ぶかな。その名の通り本当に急性です。例えば朝から急に掻き出して止まらないといって昼過ぎとかに来院とか、夜中掻いていて朝来院とか!朝までにあっという間にひどくなってしまう。。。引っ掻いたり、酷いと齧ったり。。

だから引っ掻いたり噛んだりしやすい所によく出来ます。頬とか、腰とか、首とかが多いですね!!

Hotspot

上の写真はまだ早めに来院してくれたので良かった方です。

あと少し置いたら腫れ上がって、じくじくがもっと酷くなり、膿っぽくなり始めたことでしょう。。。🥲

原因

原因は主に湿気!!

と、私は思っています。。。。😁

何故ならあまりにも梅雨の時期、特に湿気の強い日、特にアンダーコートが多いシェルティ、ゴールデン・レトリバーなどに多いから。。

教科書的に言うと、原因は痒みをきっかけとするものなら何でもあり。ノミ寄生、膿皮症、アトピー性皮膚炎、外耳炎、肛門腺炎などなどなど。。主には細菌感染なんて書いてあったりもするけれどね。。。

えっ?じゃあ、アトピー性皮膚炎とかで掻いているのと何が違うの?というと、自分で掻いてしまったことが原因で皮膚が剥けてしまって、その痛痒さが我慢ならないものになってしつこく掻くのが止まらず、どんどんひどくしてしまっているという悪循環。。。が、Hotspot病変を作ってしまっているということ。

子供が蚊に刺された所を引っ掻いて痛くしちゃって、いじるのが止まらなくなっちゃって赤剥けして腫れちゃってるのと同じ感じです。

靴ずれみたいな痛痒さって言えば分かるでしょうか?

ひどくなるとこんなにしてしまいます。↓

外耳炎が原因だったHotspot

治療

治療は患部の炎症を鎮めること、感染を抑えることの他に、感染があまりなさそうならば病変の場所によっては湿潤療法をやってみることもあります。

靴ずれみたいな痛痒さは湿潤療法がうまくいくと10分くらいで収まりますよ。😀

あと、他の場所に同じような部位がないか調べたり、ノミがいないかとか、耳、肛門腺の痒みではないかとか、場合によっては膀胱炎とか関節炎の鈍痛やチクチクする痛みなどがきっかけの場合もあるので、そういうところもしっかり診てあげる必要がありますよね。

もしお家にいて、すぐには動物病院に行けない場合は冷やすのも効果的かも!

でもひどくなる前になるべく早く病院に連れてきてあげてくださいね!!😂

犬の皮膚病 ークッシング症候群ー

全体的に毛が薄い。お腹がポッテリと太っている。お水を飲む量が多い。おしっこが多い。皮膚病を繰り返す。。。高齢犬のこんな症状。ひょっとしてホルモンの問題かも!!高齢犬に多い皮膚病の1つクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)の解説

1.特徴

高齢になってから皮膚病が治らない。それに以下のような症状が一致したらひょっとしてホルモンの病気の一種、「クッシング症候群=副腎皮質機能亢進症」の可能性があります。

  • お腹がポッテリと太鼓っ腹になってきた。
  • 食欲はすごい。
  • お水を飲む量が多い。
  • ハァハァ言うことが多くなった(パンティング)
  • おしっこが多い
  • 皮膚が薄い
  • 傷が治りにくい

高齢になってから起きるホルモン関連の皮膚病の2大原因に、「甲状腺機能低下症」と、「クッシング症候群=副腎皮質機能亢進症」があります。どっちも太りやすくなるのが特徴的ですが、太り方とは皮膚の感じが違うんですよね。どっちも毛の抜け方は割と似てるんですけど。。。

  • 甲状腺機能低下症は、皮膚は厚い。太り方は全体的に寸胴な感じのんびりしている
  • クッシング症候群の方は皮膚は薄い。太り方はお腹だけポテッと太鼓っ腹になる。活動的食欲もすごい。

という感じです。

2.飲水量が増えます

飲水量は犬の平均が1日60ml/kg 程度。クッシングでは100ml/kgくらいになったりします。つまりは5kgくらいのわんこが1日に500mlのペットボトルを空にするくらい水を飲むなら明らかに異常です。

不安な時は24時間でどれくらい水を飲んでいるか、計量カップとかを使って量ってみてくださいね。

飲水量の増加は他にも糖尿病や腎臓病、利尿剤やステロイドを飲んでいる時にも見られます。

3.症状

クッシングの時の典型的なお腹の様子はこちら↓ お腹だけポテッと膨らんでます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

拡大したのがこちら↓ 皮膚がすごーく薄くて切れそうなくらい。皺がよってます。皮膚の下の血管がよく見えますね。

クッシング症候群の犬の皮膚、拡大像

皮下組織が薄くなり脆弱になった皮膚は傷つきやすく、

「引っ掻いたら赤くなって治らない」、「毛が生えない」、また甲状腺機能低下症の場合と同様に「膿皮症が治らない」という症状で来院されますね。

4.検査はどんなことをするの?

血液検査とお腹のエコー検査を行います。

血液検査は少し特殊なホルモンの検査をします。最初に採血して、副腎を刺激する注射をし、1時間後にまた採血するという検査、あるいは最初に採血して副腎を抑制する注射をし、8時間後にまた採血する検査の2種類があります。

どちらを選択するかは、病院の状況や動物の性格にもよります。(この検査はストレスの影響を受けるので。ストレスに弱い子ほど不正確な値になりやすいのです。)

お腹のエコー検査では副腎の厚さを見ます。横向きあるいは仰向けでゴロンと寝てもらって、超音波でお腹の中をのぞくものです。痛くも怖いものでもありませんので、安心して受けてくださいね!

超音波検査、アンベットクリニックにて

5.治療は?

検査結果にもよりますが、ほとんどが「下垂体依存性副腎皮質機能亢進症=過形成」というタイプになります。

実はこのタイプ(およそ9割)は、実は脳の下垂体に腫瘍ができることで副腎の異常につながっているのです。。つまり大元は脳にあるので、本当は脳の手術や放射線治療をしなければ根本治療にはなりません。脳の状態を調べるにはCT検査やMRI検査を受ける必要があります。

CT/MRIなどの画像検査、脳の手術は一部の大学病院や大きな病院をご紹介することも可能です。

画像検査や脳の手術や放射線治療までは望まない場合、問題が起きている副腎のホルモンを抑える内服薬を処方して生涯治療を続けることになります。この場合は数ヶ月に1度診断の時と同じようなモニターのための血液検査を行います。

残りの1割は副腎の腫瘍によるものです。血液検査と腹部のエコー検査で判断します。腫瘍は手術をおすすめすることが多いです。大きくなると周りの大事な血管に侵入して血行障害を引き起こしかねないからです。

他に持病があるなどの問題があり手術を望まない場合は、やはり内服薬による治療を行います。治療に反応してくれることもありますが、過形成の場合よりは反応が劣るようです。

犬のひふ病 ー膿皮症治療編 ー 

イヌの膿皮症の治療について説明するよ。膿皮症は犬の皮膚病で一番多い病気。でも時々治りにくい。治るのに時間がかかる。どうして?どんな治療法があるのかな

1.治療の基本

 膿皮症の基本治療は細菌をやっつける💪こと。細菌数を減らしてあげれば後は自分が持っている自己治癒力で綺麗な皮膚に戻っていく。

 慌ててステロイドなどで炎症を抑え込んだり、アポキルなどの痒み止めで痒みを抑え込む必要はありません。(アトピーなどの基礎疾患が十分予想されるケースで、寝ていられないほどや診察台の上でもずっと引っ掻いているような場合は別ですが・・・)

 炎症や痒みを抑え込んでしまうと、細菌の影響がきちんと除外できているか分からなくなってしまうことがあります。

 2.治療は主に2種類

1.外用療法

2.内服による方法

3.現在は外用療法が主流

 

「 ”セファレキシン”という抗生物質を2週間使えば95%の膿皮症は改善に向かう 」なんて言われたものです。

私が獣医になった20年くらい前までは2.の内服療法が圧倒的に主流でした。

 でも、私達獣医師と、おそらくはヒトのお医者さんたちも、この数十年抗生物質を使いすぎた。膿皮症に抗生物質、ちょっと怪我をしたら念のため抗生物質、ちょっと咳したら抗生物質、手術後は必ず抗生物質、入院中は必ず抗生物質。。。。😓

 結果・・世の中には一般的に処方される抗生物質に対して耐性を持つ細菌(薬剤耐性菌)が増えすぎてしまいました。。特にメチシリン耐性菌は一般的に使われるβーラクタム系の抗生物質(ペニシリンとか、セファレキシンとか、アモキシシリンなどが含まれます)は全部効かないと考えるもので、これが大変に問題になっています。

 なので、現在はなるべく外用療法からトライしようね!👍🏻

という考え方が主流になってきています。

4.耐性菌って何?

 医学領域でMRSAって聞いたことないです?これはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin‐Resistant Staphylococcus Aureus)の略で、ヒトの病院の入院患者さんの間で流行ったりして時々話題になりますよね。

 イヌの場合はちょっと菌の種類が違うのでMRSP(Methicillin‐Resistant Staphylococcus Pseudintermedius)ってなるんですけど、現在はこれがとっても多くなっていて一般病院で30%近く、大学病院などに来るイヌの実に6割以上膿皮症症例からMRSPが検出されている。(2021年獣医皮膚科学会発表)

 イヌのブドウ球菌は、普通ヒトに定着して病気を引き起こすことはないのだけれど、お家にご高齢の方免疫抑制剤を使っている方がいる場合はやはりリスクになる。

 そうでなくてもイヌ本人が今後他の大きな病気(肺炎とか)を起こした場合に効く抗生物質がほとんどない!!😱っていう事態に陥いるかもしれない。

 耐性菌は抗生物質を使うことで、細菌が変化して現れてくると考えられているので、耐性菌を減らすには抗生物質を使わないことが大切なんです。

5.外用療法はどうやるの?

外用療法としては、クロルヘキシジンという比較的優しい消毒薬(菌には効果あり!)で患部を消毒してもらったり、部分洗いしてもらったり、

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菌の抑制作用を持つ成分が入ったシャンプーを使ってシャンプーや薬浴をする。「する」と一口に言うけど、菌は叩いてもすぐわずかに残った菌が増殖してしまう。だから、1日2回の消毒が必要。患部によけいなフケや分泌物が付いていると、本人も不快だし、また細菌のエサになってしまうので、1週間に2回くらいシャンプーで清潔にしてもらう必要がある。

マラセブ

マイクロバブルや、炭酸水の薬浴も効果的。菌が皮膚の内部に入りにくいように、皮膚の状態を整えるという意味で、薬浴やシャンプー後は保湿をすることもとても大切。

・菌を洗い流して菌の絶対数を減らす。

・菌を殺菌、抑制する。

・皮膚の状態を整える(スキンケア)

の3本立てですね👏

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ちなみにこれ、自分で書きました。Sketchesというアプリです。頑張った−😂

何時間やってたかなんて。。。。? 恥ずかしくてとても言えません。。。😅

もう少し明るい色にしちゃえば良かったなーとか思ってるんだけど、もうこの絵はいじらないことにします。。。またいずれ。。。今度はもっとスムーズにいくかな?😆

 6.治療は飼い主さんと一緒に💞

 外用療法はお薬を飲ませるだけの場合と比べて飼い主さんの協力がずっと必要になるので大変なんですけど、どうかそんな事情をご理解の上で治療に参加してください。

よろしくおねがいします。🙇‍♀️

でもどうしても大変で、もう気が狂っちゃう!!みたいな時は遠慮せずに言ってください。病院によっては薬浴をお手伝いできます!!

7.背景にある病気を探す

 膿皮症は他の皮膚病が元になっていることがある。治りにくい場合、繰り返す場合はそういう他の病気を探す検査にすすむ場合がある。

それについてはまたいずれ・・・

犬の皮膚の病気 ー膿皮症ー  円形ハゲができちゃった!!

犬に円形ハゲができちゃった!膿皮症って言われたけど?膿皮症って何?どうしてなるの?治る?大丈夫?

1.その名も”膿皮症”

まずは”膿皮症”。最初から取っつきにくい名称ですよね。膿み・皮・症。わ〜!皮が膿んでる?何だか怖ー😱

病気の名前ってストレートなのが多い。なんでかって、たいていの場合英語から規則に則って日本語にしてるから。英語だとPYODERMA。PYOが化膿してる様子。DERMAは皮膚。で、それに症状の症。

皮膚が膿んでるから”膿皮症” 。

でも、傷がすごーく、化膿しているのとは違います。それは化膿性の創傷であって、膿皮症とは呼びません。何ででしょうね?少し気持ち悪いですね。

まあ、そんなもんです。😅もうちょっと説明できそうですけど先にいきますね。

この”膿皮症”

イヌの皮膚病では最も多い。他の色んな皮膚病に併発?合併?することも多い。

例えば

 ”アトピー性皮膚炎と膿皮症”、

”内分泌性皮膚疾患と膿皮症”とか、

”ニキビダニ症と膿皮症”というぐあいに。。

2.膿皮症は細菌感染!

膿皮症は細菌感染による皮膚病。ほとんどの場合、ブドウ球菌が原因。

ブドウ球菌。聞いたことあります?人だと黄色ブドウ球菌ってよく聞きますね。あれはブドウ球菌のうちの一つの種類。イヌの膿皮症は黄色ブドウ球菌とは違う種類のブドウ球菌が原因。そうブ・ド・ウ。。🍇間違いではありません!

ブドウみたいにくっついている球状の菌という意味。顕微鏡で見たまんま。

こんなのです。

ブドウ球菌

ちょっと可愛い❤️ ブドウみたいでしょう?

3.よくある質問 − どんな病気? ー

病変部はよく円形ハゲになります。こんな感じ↓ 周辺が赤い時もある。

表在性膿皮症 2

Q:円形脱毛?ストレスですか??

A:ストレスはどんな病気でも悪化因子にはなるかもしれないけれど、ちょっと違います。それに円形脱毛症は動物にもあるけど、免疫が関係しているちょっと特殊な皮膚病なんですよ。

Q:カビでしょうか? ヒトの皮膚糸状菌症=いわゆる水虫、はこんな周辺が赤い円形脱毛を作りますよね。

A:でもイヌの場合、皮膚糸状菌の発生は非常に少なく、多くの場合は膿皮症です。念の為、皮膚検査できちんと調べましょうね。

フケ(鱗屑)も特徴的です。

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プチっとした小さな盛り上がり病変を作る場合もある。膿疱と言います。

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膿疱がはじけて周辺に火が広がるように広がって、円形の脱毛部は中央から治っていく。中央部はよく黒っぽくなります。(色素沈着)この黒いのも結構心配されるけど「変な病気ですか?」って。大丈夫です。後述しますね!

4.どうしてなるの?ー 原因と簡単な仕組み ー

Q: どっから移ったんですか?

A:この菌は元々みんな持ってる。常在菌の一つ。。これもそのままです。いつもいる、みんな持ってる普通の菌なんだけど、何かが原因で、皮膚のバリア機能が衰えた時に中の方に侵入してしまって、炎症を引き起こす。

こういうのを日和見感染とか言います。

例えば、乾燥肌とか、痒くて引っ掻いたとかがきっかけになって。。

皮膚の表面にある角質層はレンガとモルタルのような作りで、けっこう強固に表面を覆っている特殊な構造。健常なら表面に細菌が付いていても、何も起きない。

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でも、この構造が崩れると、細菌が皮膚の中や、毛孔の中に入って炎症を起こすことがある。これが膿皮症。

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5.その他よくある質問

Q: 細菌って・・・?? うちが汚いんですか??

A: いえいえ、関係ありません。犬がみんな元々持っている菌がたまたま中の方に入っちゃったと思ってください。

Q: 不潔にしてたでしょうか?

A: いえいえ、関係ありません。汚くしていても全然皮膚病にならない子もいっぱいいるし、人だって皮膚病の人の家が汚いわけではないですよ。

Q:黒いけれど変な病気でしょうか?大丈夫でしょうか?

A:大丈夫です。イヌの皮膚は炎症の後、よく黒い色素が沈着します。良い状態を保てれば、多くの場合ゆっくりと元のピンク色に戻っていきます。たまーに薄く色づいて残ってしまう場合もありますが、心配いりません。

また薄い色の被毛、例えば薄茶色のプードル、グレイのプードル、薄茶色のダックスフンドなどは膿皮症になったところが濃い色になってしまうこともあります。

しばらくパッチワークみたいな毛色になってしまいますが、半年くらいで周囲の色と揃ってくる場合が多いようです。

治療は。。長くなったので、次回にします!!😅

治療編→