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皮膚糸状菌症

皮膚糸状菌症 ー 真菌・・カビによる皮膚病 ー真菌が原因の皮膚病だと言われたらどうする?

どこからうつったのかしら?人や他のペットにうつる?一緒に寝ないほうが良い?隔離しなくちゃだめ?お部屋の掃除や消毒ってしたほうがしたほうが良いの?治療はどうすればよいの?

  • 皮膚糸状菌による皮膚病の特徴
  • どこからうつったのかしら?
  • 人や他のペットにうつる?
  • 何に気をつければ良い?
  • 治療はどうするの? どれくらいかかるの?

皮膚糸状菌による皮膚病の特徴

皮膚糸状菌の皮膚病はフケが特徴です。脱毛があり、その周囲に分厚く折り重なるようにフケが目立つ時は皮膚糸状菌による感染症を疑います。猫、特に子猫に多くその場合は耳の先や鼻周囲、手先に病変が現れることが多いです。

皮膚糸状菌症
皮膚糸状菌症に感染した猫の足先

犬ではやはり足先に多い印象ですが、どこにできても不思議はありません。円形の脱毛と周囲のフケが特徴ですが猫と比べると周囲の盛り上がりが少し目立つことが多いです。

膿皮症が皮膚糸状菌と誤診される場合があります。丁寧な皮膚検査と、時には培養検査が役立ちます。犬で皮膚糸状菌の感染症を見ることはまれです。

皮膚糸状菌は膿皮症に比べると痒みが少ない事が多いです。

感染源はどこ?

皮膚糸状菌は毛や皮膚のケラチンが大好き。ケラチンを餌にする真菌と覚えてください。

猫は皮膚糸状菌の中のMicrosporum Canisを持っていることが多いと言われています。でも多くの場合皮膚病を発症しません。大人になると免疫を獲得することがほとんどと言われています。犬は猫からうつることがあるかもしれません。

Microsporum gypseumは土壌にいる皮膚糸状菌です。外猫ではM. gypseumの感染を時折みます。M. gypseumが見つかった時は土からの感染を疑います。

庭と猫
お庭によくでる猫さんはたまに。。

人のいわゆる水虫菌(白癬菌)=Trichopyton mentagropytesは犬や猫ではみることが少ないのですが、動物にも病原性を持ちます。げっ歯類がよく持っているようです。ハムスターはよく皮膚糸状菌症になります。

人や他のペットにうつる?

白癬菌=Trichopyton mentagropytesTrichopyton rubrumは動物でめったに見ることがありません。が、人から動物にうつります。

研修医時代に犬の背中の脱毛症から白癬菌が出てきて、どうやらお父さんが水虫の足で犬をナデナデしていたということがありました。

皮膚糸状菌はいずれも人畜共通の感染症です。人から動物へ、動物から人へうつることがあります。お家の子が真菌の皮膚病ですと言われたら触った後は特に念入りに手洗いをしてください。一緒に寝たりすると腕や首などの弱いところに病変が出てしまうことがあります。

人の皮膚糸状菌症
人の皮膚糸状菌症、写真は
新しい皮膚科学(中山書店)より

何に気をつければ良い?

環境中の整備と消毒が必要です。なるべく短期間に留めますが隔離を勧めることもあります。

感染した子がいつもいる動物用のベット、敷物は次亜塩素酸10-100倍希釈で消毒、洗濯は他のものと別にして2度洗いしましょう。皮膚病が治るまで繰り返すことが大切です。

ペットのベット
ベットは特に注意

早く治すために特に長毛の子では患部の毛を短くするのはシャンプー療法の効果を高める上で良いことなのですが、その際にバリカンを使用しないでください。周りに飛び散ります。ハサミで丁寧に毛を短くし、切った毛は消毒液で湿らせてすぐ拭き取り、ビニールに入れるなどの処理をしましょう。使用したハサミも消毒してください。

バリカンはダメ
バリカンはダメ

人畜共通の感染症ではありますが、同じ空間にいる、短時間触るなどで簡単にうつるものではありません。でも一緒に寝る、いつも抱っこしているなどではうつることがあります。

特に免疫抑制剤使用中の方や乳幼児、ご高齢の方では感染リスクが高いので注意が必要です。

治療はどうするの?どれくらいかかるの?

患部は毛刈りして抗真菌薬を塗布、あるいは抗真菌薬を含むシャンプーで洗浄の上、抗真菌薬の全身投与(飲み薬)を行います。

治療は数ヶ月かかるのが普通です。完全に治るまでしっかり治療しましょう。

環境中の整備が十分でないと、環境中から再感染し、治療が終わりません。飼い主さんの協力が必要です!

見た目だけで判断は危険です。よく似た皮膚病もあります。

こちらも一緒に確認してくださいね。→膿皮症ニキビダニ症

脇の下の痒み

アトピー性皮膚炎 ー 治療編 ー, 原因を多角的に捉えて解決する6つのポイント?

アトピー性皮膚炎は多因子性の疾患です。痒みを忘れた快適な生活のために、原因を考えながら1つ1つ対応しましょう!

今までのところで、アトピー性皮膚炎は「多因子性の疾患」であると説明しました。

ですので、治療は原因ごとに組み合わせて対処していきます。

また除外とした感染症ですが、膿皮症とマラセチア皮膚炎はアトピー性皮膚炎にしばしば合併して病態を悪化させるので、常にそれらのコントロールにも気を使います。

大きく分けてそれぞれの原因に対して次のような対応を考えます。

原因1.原因物質を避ける

 検査によりアレルゲンが分かったらそれを避けるという方法。

ハウスダストやハウスダストマイト(イエダニ)なら掃除の見直し、出入りする場所の見直し、敷物の見直し、エアコンの手入れ、空気清浄機の導入など。

花粉
花粉

 花粉が原因なら、その季節の散歩は避ける。家の中に持ち込まないなど。

原因2.皮膚のバリア機能向上

 ずばり、スキンケアの見直しです。ヒトのアトピー性皮膚炎では、その発症に皮膚の乾燥が関係していることが分かりました。10年くらい前の論文でアトピー素因のある赤ちゃん(遺伝的に疑われる家系の赤ちゃん)に保湿剤を塗った方がアトピー性皮膚炎の発症が少なくなることが報告され、保湿の大切さがクローズアップされてきました。

動物でも同様です。

1)アレルゲンに対する反応→痒い→掻く→皮膚に傷→アレルゲン侵入&細菌も侵入→アレルギー反応&細菌感染の繰り返し

 2)乾燥→皮膚の角質に隙間→アレルゲン侵入→アレルギー反応&細菌感染

従来、上の1)が病態だと信じられていたものが

2)も大きいのでは? という考察ですね!!

乾燥をコントロールすることで、アレルギー反応自体も抑える結果になると考えられています。

また、

3)乾燥→余分な皮脂分泌→皮脂が大好きなマラセチアの増加→痒み

というサイクルにも対応することになります。

原因3.感染症対策

アトピー性皮膚炎に合併する感染症は、原因というよりおそらくは結果の一つですが、今の状態を見極める上では大切な要素になります。

アトピー性皮膚炎は、季節などによって良くなったり悪くなったりを繰り返す病気です。ここまで読んで理解してくださった方々は、コントロールできている状態であっても、微妙なバランスの上に成り立っている感じを捉えてくれているでしょう。

皮膚の状態が悪くなると膿皮症と呼ばれる細菌感染ややマラセチアの感染が生じて、痒みも悪化します。また、痒み止めの種類によっては長く続けると免疫力が低下し、ニキビダニ症が発症していることがあります。

長期管理しているアトピー性皮膚炎が急に悪化した時は、これらの関与を疑って皮膚検査などをきちんと行ったほうが良いです。

→感染症とスキンケア対策でお薬ほとんどいらなかった症例報告

原因4.痒みを止める

痒い→引っ掻く→皮膚に傷→アレルゲン侵入&細菌侵入→細菌感染→痒み増加

上のようなサイクルが生まれてしまうので、痒みをコントロールするというのはとても大事な治療の一つです。

痒みを止める方法はステロイドの内服以外にもたくさんありますので、現在はかなり安全にコントロールしやすくなっています。

選べる痒み止め→

原因5.アレルギー体質の改善 – 免疫学的アプローチ –

 わかりやすく上のような言葉を使って説明することが多いのですが、アレルギーを起こしやすい体質を変化させる根本的と言われる唯一の治療法が存在します。

それは減感作療法というものです。

IgEを作る免疫システムを変えていくと考えられていますが、何故?よりも臨床応用の方が先に発達した分野です。

ヒトではスギ花粉の舌下免疫療法が有名ですね!

 同じようなもので、犬ではハウスダストマイトによるアレルギーだけは、ちゃんと犬用に効果が認められた製剤が利用可能です。方法も1週間に1回、計6回注射するだけという簡単なもの。

免疫細胞
免疫細胞

効果率は70%前後ですが、ずっと悩まされてきた痒みが6回の注射で、薬が減らせたら良いですよね。実際に1日置き以上ステロイドを減らせなかった犬でステロイドが切れた子もいます!

ただし、6回の後、1ヶ月に1回10ヶ月から1-2年の間、追加接種した方が良いという専門医もいますので、6回目以降は相談で決めています。(明確にはされていません)

原因6. 環境の改善 ー 生活環境とストレスの見直し ー

痒みの増加にストレスが関与しているかどうか判定するのは難しいです。でも、誰か特定の人が来た時だけかゆみ動作が増えるとか、家の周りが工事などでうるさくなってからかゆみ動作が増えたということは時々あります。

また、淋しがりやさんだと一人ぼっちになった時に酷くなめたり噛んだりして患部を急激に悪化させてしまうこともあります。

遊ぶ時間を増やしてあげたり、夢中になれるおもちゃを与えたりといった工夫がうまくいくことがあります。

また噛み壊し防止のエリザベスカラーがストレスになる場合もあります。病変部の範囲によりますが、足や首まで覆えるような伸縮性が高くて1日中着ていられるようなお洋服をご紹介できます。

湿度計
湿度計

生活環境の湿度はいかがでしょうか?アトピー性皮膚炎は梅雨時から暑い季節に悪化する場合が多いですが、実は冬の乾燥でも痒みが悪化します。できれば湿度を適切に保ちましょう。また、踵などの部分的な乾燥には乾燥予防の外用をおすすめします。

まとめ

 治すというよりはコントロールすることがゴールです、とよく説明されますが・・。皮膚の酷い状態を綺麗にして、気持ちよく、副作用なく過ごすというのを常にゴールだと思って日々診療にあたっています。

生涯付き合っていく病気ですが、良い付き合い方を見つけてあげたいですね。😌

アトピー性皮膚炎に対するそれぞれの対策をもっと詳しく見たい場合は

→スキンケアについて考える, →皮膚保護服の紹介, →アトピー性皮膚炎の環境対策

プードルのよく見る皮膚病・・脂漏症&マラセチア皮膚炎

人気のトイ・プードルでよく遭遇する脂漏症とマラセチア皮膚炎の症例をご紹介します。皮膚科診療って検査漬け?結局薬漬けなんじゃないの?・・いえいえ、そうでもないですよ。ってお話。。

動物病院エルファーロの症例です。

ある日相談を受けた6歳避妊雌のトイ・プードルさん。全身真っ赤でとっても痒そうです。

痒み指標で言えば9/10。飼い主さんとお話している間も何度も診察台の上で後ろ足でカイカイしていました。

実は、人気のプードルさんは脂漏症に陥りやすい、しかも重度の症例が多い犬種なんです。

元々プードルという犬種は撃ち落とした鴨を水を泳いで取りに行く犬種だったんです。ですから乾きやすい様に脂っぽい皮膚と被毛を持つ犬が選択されてきたのではないかしら?

こういう風に元々脂っぽい皮膚と被毛を持つ犬種は

”遺伝的に脂漏症に陥りやすい” 素因があるということになります。

この子は典型的な全身の脂漏症でした。皮膚検査をするとマラセチアも検出されました。

マラセチア
マラセチア拡大像

眼の周り、肘の曲がるところ、後ろ足の踵の曲がるところ、胸部から腹部にかけて皮膚は厚くなってシワシワです。お腹側の皮膚もシワが深くなって下腹部は黒っぽくなっていました。中でも足先は痒そうです。黄色っぽい脂っぽいフケが細かくたくさん付いているのが分かりますか?外耳炎もありました。

つまり、脂漏症からマラセチア皮膚炎になっている感じですね。

既にアレルギー用の療法食は1種類試していて、おやつもお米のボーロだけにしているとのこと。ただ、あまりお薬に頼りたくないという飼い主さんのお考えがあり、ほとんど投薬はされていませんでした。

さて、どうしましょう?

発症年齢は1−2歳で、季節性ははっきりしないけど少しあるみたい?アトピー性皮膚炎なのか、食事アレルギーなのか。。

検査をして対応を検討したいところではあります。でも食事も環境中の抗原のアレルギーも全部検査しようとするとかなりの高額になってしまいます。

では検査せずにとりあえず少しでも改善させるためにはどうしましょうか?

実はこのくらい重症だと最近流行りのアポキルやサイトポイントは効かないことが時々あります。迷いに迷って皮膚科診察に来てくれて、高い薬出したのに効かなかったらがっかりしますよね。

一方、昔から使われているステロイドやアトピカ(サイクロスポリン)はかなり確実に効いてくれるとは思います。

でも、飼い主さんはあまり薬を使いたくないというご意見でした。

そこで、まず初日から部分的にでも病院で薬浴シャンプー療法)をしてみることにしました。皮脂と毛がベタベタに絡み合った足先は相談の上毛を刈らせていただくことにしました。脂漏症の管理には毛刈りはとても有効だと思っています。

毛刈りした脂漏症の足先
毛刈りしたプードルの脂漏症の足先

そこで、マラセチア皮膚炎や脂漏症に効果のあるシャンプーを1週目は足先、2週目は後ろ足の曲がるところや脇の下、3週目は陰部周辺や頸部、腹部と、本人の負担も考えつつ徐々に範囲を広げて実施しました。シャンプー後は保湿剤でしっかり保湿し、シワシワに皮膚が厚くなった部位にのみ少量のステロイドの外用を塗布しました。

4回目のシャンプー前の様子です。

シャンプー回数を追うごとに痒みがどんどん減少し、ほとんど掻かなくなったとのこと。

おやつは制限していますが、食事も変更せず、飲み薬は何も使っていません。何よりもわんこがとても元気になって、よく遊ぶ様になったとのことで、飼い主様もとっても喜んでいただけました。

スキンケア大事ですね

ところで、この子は今まで何度も皮膚科の受診をお勧めされていたそうなのですが、

「 薬漬けになるのではないか?薬と向き合っていく覚悟ができなくてためらっていた 」

とのことでした。

飼い主さんは皮膚科診療に関してそんな風に不安に思うこともあるのだなぁ、とこちらも勉強になりました。

治療には

  • 検査で原因を明らかにして対応する
  • 症状に対応して改善させる(対症療法)

とがあって、対症療法には内服薬(飲み薬)、外用薬(塗り薬)、スキンケアなどがあります。医療としては原因を明らかにして対応するのが理想だとは思うのですが、対症療法も上手に行えばほとんど治ると言えるまでになることもあるんですよね。

特に皮膚病の場合スキンケアは重要で、こんな風に飲み薬何もなしでほとんど治ってしまうことすらあるのです。この子は1ヶ月でこんなに良くなりました。

さらに、痒み指標も1-2/10とほぼ正常な子と変わりないくらいまで低下しました。

すごく遊ぶようになって元気になりましたー!なんて言われると

「この仕事やってて良かったー😭」と思いますよね😆

通院薬浴の間隔も段々空けていこうと思っています。

狭窄性外耳炎1

外耳炎が治らない – その2 - 塞がってしまったつらいお耳

何ヶ月も何年もお耳がぐちゅぐちゅなんて可愛そうなワンちゃん達。理由と治し方があります。根気よく通院して手術を回避した症例(手術を否定するわけではありません。)

  1. 半年ほど他院で治療中もみるみる腫れ上がり悪化
  2. 菌を調べる
  3. 正しい洗浄とお薬の開始
  4. CT検査結果
  5. 治療経過
  6. そして元気に

1.半年ほど他院で治療中もみるみる腫れ上がり悪化

 他の病院で半年ほど治療しているのに悪化する一方という相談がありました。

お耳は両方とも腫れ上がり、ほとんど塞がっていました。ベタベタした分泌物が出てきて匂いも強いです。細いカテーテルがやっと入るような状態です。お耳の下側まで固く腫れ上がっていました。

 多くの病院ではこのような耳に対しては手術が適応と言われます。今後ケアの必要のない耳にするにはそれが唯一「治す」方法になるかもしれません。でも全部耳道を取ってほとんどお耳が聞こえなくなるのを受け入れるしかないのでしょうか?全耳道手術は神経症状などの合併症が多く、数ヶ月とか数年経過してから傷口がじくじくしてくるなどの障害も多く発生します。

 ところが

 こんなお耳でも多くの場合手術を避けて耳の不快感のほとんどない生活と普通のお耳の形状を維持することが可能です。

ただし、一生1ヶ月に1度程度の定期的な診察と耳洗浄が必要になるかもしれません。

 両方のお話をして、飼い主さんとしては今までの病院でも手術の話をされたけれどもまだ若いし、手術は絶対嫌なんです!というご意向でした。

 全身状態、悪化前後のお食事、身体の他の部位の皮膚疾患などについても診察します。

 四肢の指間などにかなりの発赤がありました。

 アトピー性皮膚炎や食事アレルギーの疑いがあります。足先はマラセチア皮膚炎です。

2.菌を調べる

 アレルギー検査を進めつつお耳の菌についても調べます。顕微鏡検査で、細菌が多くいる場合、私は最初に菌数をなるべく減らす治療をします。

 外耳炎は抗菌剤とステロイド、抗真菌薬のミックス剤点耳薬が使われることが多いです。この子もそのような処方とアポキルの内服を続けていましたが、ちっとも効いていないようでした。

 細菌を外注検査に出して、もっと効果的な抗菌剤がないかどうかを調べます。

薬剤感受性

 まだ効果的な抗菌剤があるようです。

3.正しい洗浄とお薬の開始

 入口付近のみ洗浄液を入れてクチュクチュもんだりしません。腫れ上がって痛いお耳はなるべく刺激の少ない方法でなるべく奥から洗浄して、悪い成分を排出するよう試みます。

 適切な抗菌剤の点耳薬や飲み薬を開始します。

お薬

 前回お話したように外耳炎は洗浄とお薬、原因の除去が大切。汚れをとって、微生物を減らし、炎症を取り、そして炎症の原因も探るという多角的なアプローチと根気が必要です。

4.CT検査結果

 中耳炎も疑われるためにCT検査も薦めました。(CTセンターを紹介します)

どうやら鼓膜は無事なようです!!鼓膜が破れている場合はリスクの度合いも高くなるので良かったです!まだ間に合うかも!!

5.治療経過

 少しだけお耳の入り口が開いてきました。少しだけ中も見れるようになってきました。

今まで悪化するばかりだったので、飼い主さんも嬉しそうです😀

6.そして元気に

 最初は1週間に2回の通院から始め、次に1週間に1回。内服薬や点耳薬を適宜変更しながら根気よく通院していただきました。半年から1年位かかりますが、すっかり入り口も普通のお耳になって、中もよく開きました。

 何より嬉しいのはワンちゃんが元気になって遊ぶようになりました、と言っていただけることです。あぁ私、この仕事していて良いんだなぁと感じます😂

お耳が治ってご機嫌
お耳が治ってご機嫌

 今でも6週間に一度くらい定期的にお耳洗浄をしていますが、それで調子よく過ごしています。

症例:猫の疥癬 ー 東京や横浜なら疥癬なんてダニの病気は関係ないと思っていませんか?ダメダメ!油断禁物です。ー

横浜市神奈川区のアンべットクリニックの患者さんです。

お顔

病院のごく近所に住んでいる気のいい飼い主様。昔ながらの感じで何頭かの猫さんをお外にも出して飼っています。今回数ヶ月前に新しく飼い始めた猫さん(元野良猫さん!)の皮膚がボロボロだということで、連れていらっしゃいました。

一見すると食事アレルギーを疑うような発疹分布なんです。耳介には病変が全然ありません。ただ、尾っぽにすごくフケの多い所があって、アレルギーにしては変だなと思いました。

 痒がってますか?と聞くと、「掻いてるところは見ていません」というお返事だったのですが。。。。

念の為、皮膚検査をすることにしました。。

すると・・・・

疥癬でした!

 「こないだまで外にいたからどこかでうつってきたんでしょうね。隣町の白楽には疥癬の狸がいて餌付けをしているお家があったらしく、そのお家の近所のワンちゃんが疥癬になったこともあるんですよ」と数年前の経験を話しました。

すると・・・・

皮膚がボロボロのタヌキを近所で見たわ!

というお話でした!!びっくり😲

白楽もですが、ここ三ツ沢も横浜駅徒歩圏内です!!(少し遠いけどね)

三ツ沢には豊顕寺の森という森がありますし、有名な高校の校庭裏は林と人が入らない草ボウボウの土手があります。

横浜って自然も多いんですよね。

思えば東京都府中市の東京農工大学の皮膚科診療に出ていた頃も大学病院に疥癬のワンちゃんが何頭も来ましたっけ。。

フケがいっぱいの所を皮膚検査するとフケにダニやダニの卵が含まれていて見つけられることが多くあります。でも、先にシャンプー療法とか散々やって綺麗にしてしまうと検出率下がるんですよね。。。

大学病院では中々診断が付かずに病理検査までやってようやく分かったケースなんてのもありました。。。。他の犬とほとんど接触がないと言っていたワンちゃんも疥癬だったことがあるんです。

東京にも新宿御苑や代々木公園、砧公園、皇居、上野恩賜公園、青山公園、井の頭公園、葛西臨海公園とか明治神宮とか。。。大きな公園や森!!たくさんありますよね。

タヌキ!!

タヌキさん

いると思います!

そしてタヌキが疥癬になると、群れに広がるし、駆虫薬とかも中々難しいから根絶しにくいんじゃないかしら。

 疥癬は皮膚から離れると3日くらいしか生きられないのでそんなに簡単にはうつらないとされています。それは間違ってないんですけれど・・・逆に言えば草むらとか、ペット同伴OKの大きいデパートのカゴに敷いてあったペットシーツとか、他のワンちゃん(実は疥癬だったとしたら。。)が遊んだ後のサークルとかから・・・

3日以内ならうつってしまう可能性があるということです。

最も最近のノミ・マダニ予防薬は疥癬にも効果があるものが多いので減少傾向だとは思います。

でも・・・。

洗っちゃう前に皮膚検査!!😣 しましょうね!!

良くなりました!良かったね😀

疥癬

疥癬って何?人にうつる? ー とっても痒い疥癬のお話 ー

1.疥癬って何?

「ヒゼンダニ」というダニ(目に見えないくらい小さい。ものすごく眼の良い人はギリギリ見えるかも!!)が、皮膚に寄生して起きる皮膚病です。

2.どんな症状なの?

とにかく痒みが強いです😖

そして丘疹(ブツブツした発疹病変)や、フケの亢進(増えること)を認めます。疥癬のフケは分厚く降り積もるような症状になることが多いです。診察台でも掻き続けるほど痒みが強いので毛が切れて薄くなってきます。

痒い!!疥癬

このダニは上皮に穴をあけて潜り込んでいき、動物の角質を餌にして生きていると考えられています。生き物ですから中で排泄物も出します。その排泄物にアレルギー症状を起こすことがひどい痒みの原因となるようです。

疥癬のトンネル
皮膚病変分布、疥癬

疥癬の病変分布はある程度特徴的で、耳介の先端、肘、踵、そして腹部が好発部位です。

3.どうすれば分かる?

丁寧な皮膚検査を行います。フケに多くの疥癬や、疥癬の卵が含まれることが多いです。そのため、既に何度もシャンプーしてフケを完全に落としてしまっている場合、検出率は低くなります。有名な皮膚の専門医でも疥癬が皮膚検査で出てくる率は50%程度と言っています。そのため、病理検査が必要になったり除外診断あるいは診断的治療といって、ダニが証明されてはいないけれども疥癬の治療をしてみるということもあります。

掻爬検査

診断的治療はアトピー性皮膚炎の治療としてステロイドなどの免疫抑制作用を有する薬を使う前に行うべき標準的な治療法です。

4.人にうつる?

うつります。

ただし、疥癬は動物の皮膚から離れてそんなに長くは生きられない(だいたい3日くらいしか生きられないと言われています)ので、ちょっと抱いたくらいですぐ感染するものではありません。

しかしながら友人の獣医師や飼い主様でも感染した方がいますので、疥癬の動物は治療が完了するまでは他の動物とは隔離し、使用したタオルは50度以上のお湯に10分以上漬けてから洗濯してください。また一緒に寝るなどは控え、抱っこした日はシャワー、入浴を必ずするようにしてください。衣類のタオルと同様に対応した方が良いでしょう。

5.どうやって治療するの?

以前はイベルメクチンという薬を内服したり、注射したりする治療法が一般的でした。現在ではいくつかのノミ・マダニ予防製品が疥癬に対して治療効果があることが分かっています。なので、治療効果のある製品を日常使いしている子は感染する可能性がかなり低いです。そのため、疥癬をみる機会は減ってきています。

ノミ・マダニ予防製品をみなさん使用している使用していると思いますが、疥癬に対して効果があるものとないものがあるので確認が必要です。

十分治療したにも関わらず痒みだけ残る場合は、身体に残っているダニの排泄物などに対するアレルギー症状が継続している可能性を考え、治療薬を継続しつつ抗アレルギー薬を使用します。

痒くなくなってニッコニコ!!
精巣腫瘍による脱毛

たかが皮膚病? されど皮膚病!!(脱毛から発見した精巣腫瘍の話)

皮膚の変化を見過ごされていた腫瘍の症例について ー 回顧録的な・・ ー

 えー、最初に言います。今回若干愚痴です。

過去の症例をネタに。。時々感じることなんですけど。。

皮膚の変化って時々軽視されるんです!!😡

 この子は高齢のプードルさんで以前勤めていた病院で出会った子です。ずっと他の先生に懐いていた飼い主様の子で、言ってみれば私の担当って感じではなかったわけです。

 割と神経質な飼い主様でちょっとした下痢とかでよく来院されていたようです。ずっと腫瘍認定医さんが診ていた症例だったような気がするのですが、どこかの時点からこんな風に脱毛が生じていたみたいなんですよね。

精巣腫瘍の脱毛j

でもですね。全くと言って良いほど脱毛については気にされていなかったんです。

年取った子って毛が薄くなったりすることよくあるよね。みたいに。。。。。😓

担当医が休みの日にまた下痢か何かで来院されて、たまたま私が診察に入ったんですよね。。で。

「あれっ?毛が薄いのいつからです?」

すぐにさっと身体検査をしたら。。。

何と!

可愛いたまたま(あれですよ、あれ。そう。睾丸=精巣です。。)が左右不対照な上に大きい方はゴツゴツしてるじゃないですか!

だからね。言いました。

「〇〇さん。今日の下痢はお薬出しますけど、それよりこの毛が薄いのですね。ひょっとすると精巣の腫瘍からきてるってこともあり得るんですよ。ほら。大きさが左右で違うし何か固いでしょ。そういう腫瘍あり得るんです。精巣の腫瘍だと放っておくと貧血とかになって命に関わることだってありますから、担当医の先生にももう一度早めに診てもらって相談してくださいね。」参考→

いえね、ずっと他の先生が診ていた症例だと横からグイグイ検査進めて手術の予定まで立てちゃうとかはなんだな、っていう遠慮があるわけですよ。飼い主さんにしても急な話ですし、いつもの先生とも相談したいでしょ?すぐ来てくれそうな方だったし。。

というわけで、この子は後日去勢手術をして精巣を無事摘出。

その後こうなりました。。

精巣摘出後の発毛

貧血にもなってなかったし、良かったです。

でもね、でもね!🤣

私、担当医からも飼い主さんからもお礼も感謝も全然言われなかったの!😂

そんなことってありますー?放っておいたら死んじゃったかもしれないのよ?(ちょっと大げさかもしれないけど。手遅れになることだってあり得る。。)まあ、いいんですけどね。😔

というわけで。

「何か皮膚科医って可愛そうだな・・・・😭」っていう愚痴でした。笑。

あと、

「皮膚は内臓の鏡だからー!異常を見たら気にしてよね!!」

ってのがホントに言いたいことです。

以上でした。。

マラセチア皮膚炎による色素沈着

犬の皮膚の色の変化について ー 黒い、赤い、白い ー

皮膚って目に見えるから何か変化があると心配になっちゃいますよね。黒くなった、赤い。白くなった。など皮膚の色の変化について解説します。

黒くなる場合

動物の皮膚の色が黒くなる場合、大きく分けて黒っぽいものの分泌が増えて黒っぽく見えている場合、毛穴が黒くなって目立っている場合、そして皮膚自体に黒っぽく色がついている場合があります。

分泌が増えるケース

弱い炎症が長く続くと、皮脂の分泌が増えて毛にたくさん付いてくることがあります。脂漏性皮膚炎、マラセチア皮膚炎、ニキビダニ症、皮膚糸状菌症など

皮脂がたくさん分泌されている

毛穴が黒く目立つケース

これも慢性的な刺激が長く続いていることが多いです。ニキビダニ症など

皮膚自体が黒いケース

フケなどの汚れをシャンプーなどで除去しても黒さが取れない、毛穴ではなくて、皮膚自体が黒いケース

多くの場合慢性皮膚炎の結果です。特に犬では慢性皮膚炎の後に色素沈着といって、メラニン色素が皮膚に沈着する現象が起こります。炎症事態が既に治まっていることが多く、多くの場合心配いりません。

黒い場所が限局している。不整な形。盛り上がってきたなどの場合は腫瘍ということもあり得ます。早めに診察を受けましょう。

皮膚が赤くなる場合

皮膚が赤くなるのは炎症を起こしていることが多いです。炎症を起こす原因は感染症とアレルギーが2大原因。その他の皮膚病でも病気本体の周りに炎症性の細胞が集まる(二次的な炎症)と赤くなります。

感染症?

膿皮症(細菌が原因)、皮膚糸状菌症、疥癬、ニキビダニ症マラセチア皮膚炎など

多くの場合ブツブツ(発疹)やカサブタ(痂皮)が痒みよりも先に起きてきます。痒いことが多いです。

アレルギー?

アトピー性皮膚炎や食事アレルギーがこれにあたります。発疹や痂皮より先に痒みが出ることが多いです。痒いです!!

その他の皮膚病

腫瘍や免疫介在性(自分の免疫細胞が自分の細胞を攻撃してしまう病気)皮膚疾患でも赤みが出る場合があります。多くの場合、じくじくしたり(糜爛)盛り上がったり、ガサガサした様子(分厚いフケが重なるような様子)が非常に強いなどの特徴があります。

免疫介在性の皮膚疾患
粘膜皮膚移行部の糜爛

白くなる場合

人の白皮症のような病気は動物ではほとんど見られません。でも、毛穴が白くなる。皮膚に白い塊がたくさんできる。黒かった部分が色が抜けてくる。という場合はあります。

毛穴が白くなるケース

皮脂の分泌が何らかの原因で増えているということが考えられます。脂漏性皮膚炎、ニキビダニ症、内分泌疾患、栄養学的な問題など

皮膚に白い塊がたくさんできる。

医原性クッシング
皮膚に白い固い小さな塊が無数に触れる

何らかの代謝異常が考えられます。何かが皮膚に沈着している可能性です。塗り薬や飲み薬のステロイドの副作用でよく見られます。部分的に大きく盛り上がってくる場合は腫瘍の可能性も考えられます。いずれにしても早めに診察をお薦めします。

黒かった部分の色が抜けてくるケース

1歳以下の若い子のアイラインなどは眼球が大きくなるにつれ、アイラインが間延びして色が抜けてくるように見えることもあります。この場合は平坦で、数週間という単位で広がっていくことはほとんどありません。

が、黒い部分の色が抜けて赤くなったり白っぽくなったりするケースは、免疫介在性皮膚疾患や皮膚の腫瘍で多く見られます。特に盛り上がったり炎症を伴う(ジクジクしている)場合は早めに診察をお薦めします。

ステロイドいらなくなったよ

ステロイドが切らせません。。いえいえ、減らす方法があるんです。今ではステロイドがいらなくなったチワワちゃん

ーステロイドが切らせませんという相談をよく受けます。順番に丁寧にアプローチすることが大切ー

センター南さんの保護犬出身です。

5歳で引取り。引き取った時点で全身の脱毛があってかなり酷い皮膚疾患だったそう。

私がセンター南に来る前から先生方も飼い主さんも一生懸命やってくれて、相当良くなったそう。

それでも、時々掻き壊してしまうのでステロイド(副腎皮質ホルモン剤)を毎日半分づつが欠かせない。もう少し減らす方法はないですか?という相談でした。

結構痒そうですね。

皮膚検査でマラセチアはいませんでした。痒い場所がかなり限局的なので、外用薬を上手に使うと内服薬が減らせそうです。保湿も重ねながらいくつかの塗り薬を薦めました。

ステロイドは早い段階で1日おきに減量できました。

アレルギー検査をしてみると。。。病変の分布からもアトピー性皮膚炎を疑いましたが、やっぱりそれっぽい。

そこで・・・ハウスダストマイトの減感作をスタートしたら。。。

何とまあ、すっかり綺麗になってしまいました。そして、飲み薬のステロイドも全くいらなくなりました。

ステロイドいらなくなったよ
もうすぐ話し出しそうな賢いお顔です!

減感作療法は今は3ヶ月おきで良い状態を維持できています😊部分的なステロイドの塗り薬もたまーに塗るくらいですんでいます。

念の為付け加えると、ステロイド=悪というわけではないんです。私も使いますし、時にはこれがベストチョイス!!って頼りにすることもある凄い薬です。

でも長期的な使用となると。。。ちょっと心配ですよね。

上手な切り方、付き合い方のアドバイスできると思います。実際に診て丁寧に聞くとたくさんのヒントが隠れています。気楽に相談に来てください。

猫の皮膚病ー蚊!蚊が出てきたよ!!注意!!ー

蚊!蚊が出てきたよ!!黒いお耳を持つ外猫さん!!この季節は要注意!!お耳にブツブツが出て引っ掻いている。そんな時は・・・・・!

暑くなってきました。。お外に出るのに虫除けがいる季節。。

実は私、O型のせいがとても蚊に好かれます。えっ?足が臭いんじゃないかって??・・・酷い。。。。😿

わんこはこの季節はそろそろフィラリアの予防を始めなくちゃ!って頃ですよね。

にゃんこの皮膚科領域ではこの頃から。。特に外猫さん、しかも何故かお耳の黒い子が特に!!

にやられる季節なんです!!

蚊刺症=モスキートバイト!

ご存知でしたか?その名も「蚊刺症」、あるいは「蚊刺咬性過敏症(モスキートバイト)」なんて言います。

これは蚊のアレルギーであることが分かっています。

教科書では昆虫アレルギーと紹介されていることもあります。

耳介や鼻先、足の裏など毛の薄いところがやられます。そして猫さんは解毒作用が弱いので、どうも人用の蚊よけゼリーを塗らない方が良いみたいなんですよねー。。

結局のところ、蚊に刺されないようにする。病変は早めに対症療法で治す&引っ掻かないようにする。。という対応になりますが、ま、蚊に刺されか!そのうち治るかな!なんて軽く見ていると、酷く引っかき壊して化膿してしまうこともあるので、早めにご来院くださいね!

治療後↓

痒くなくなって良かったね!