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プードルのよく見る皮膚病・・脂漏症&マラセチア皮膚炎

人気のトイ・プードルでよく遭遇する脂漏症とマラセチア皮膚炎の症例をご紹介します。皮膚科診療って検査漬け?結局薬漬けなんじゃないの?・・いえいえ、そうでもないですよ。ってお話。。

動物病院エルファーロの症例です。

ある日相談を受けた6歳避妊雌のトイ・プードルさん。全身真っ赤でとっても痒そうです。

痒み指標で言えば9/10。飼い主さんとお話している間も何度も診察台の上で後ろ足でカイカイしていました。

実は、人気のプードルさんは脂漏症に陥りやすい、しかも重度の症例が多い犬種なんです。

元々プードルという犬種は撃ち落とした鴨を水を泳いで取りに行く犬種だったんです。ですから乾きやすい様に脂っぽい皮膚と被毛を持つ犬が選択されてきたのではないかしら?

こういう風に元々脂っぽい皮膚と被毛を持つ犬種は

”遺伝的に脂漏症に陥りやすい” 素因があるということになります。

この子は典型的な全身の脂漏症でした。皮膚検査をするとマラセチアも検出されました。

マラセチア
マラセチア拡大像

眼の周り、肘の曲がるところ、後ろ足の踵の曲がるところ、胸部から腹部にかけて皮膚は厚くなってシワシワです。お腹側の皮膚もシワが深くなって下腹部は黒っぽくなっていました。中でも足先は痒そうです。黄色っぽい脂っぽいフケが細かくたくさん付いているのが分かりますか?外耳炎もありました。

つまり、脂漏症からマラセチア皮膚炎になっている感じですね。

既にアレルギー用の療法食は1種類試していて、おやつもお米のボーロだけにしているとのこと。ただ、あまりお薬に頼りたくないという飼い主さんのお考えがあり、ほとんど投薬はされていませんでした。

さて、どうしましょう?

発症年齢は1−2歳で、季節性ははっきりしないけど少しあるみたい?アトピー性皮膚炎なのか、食事アレルギーなのか。。

検査をして対応を検討したいところではあります。でも食事も環境中の抗原のアレルギーも全部検査しようとするとかなりの高額になってしまいます。

では検査せずにとりあえず少しでも改善させるためにはどうしましょうか?

実はこのくらい重症だと最近流行りのアポキルやサイトポイントは効かないことが時々あります。迷いに迷って皮膚科診察に来てくれて、高い薬出したのに効かなかったらがっかりしますよね。

一方、昔から使われているステロイドやアトピカ(サイクロスポリン)はかなり確実に効いてくれるとは思います。

でも、飼い主さんはあまり薬を使いたくないというご意見でした。

そこで、まず初日から部分的にでも病院で薬浴シャンプー療法)をしてみることにしました。皮脂と毛がベタベタに絡み合った足先は相談の上毛を刈らせていただくことにしました。脂漏症の管理には毛刈りはとても有効だと思っています。

毛刈りした脂漏症の足先
毛刈りしたプードルの脂漏症の足先

そこで、マラセチア皮膚炎や脂漏症に効果のあるシャンプーを1週目は足先、2週目は後ろ足の曲がるところや脇の下、3週目は陰部周辺や頸部、腹部と、本人の負担も考えつつ徐々に範囲を広げて実施しました。シャンプー後は保湿剤でしっかり保湿し、シワシワに皮膚が厚くなった部位にのみ少量のステロイドの外用を塗布しました。

4回目のシャンプー前の様子です。

シャンプー回数を追うごとに痒みがどんどん減少し、ほとんど掻かなくなったとのこと。

おやつは制限していますが、食事も変更せず、飲み薬は何も使っていません。何よりもわんこがとても元気になって、よく遊ぶ様になったとのことで、飼い主様もとっても喜んでいただけました。

スキンケア大事ですね

ところで、この子は今まで何度も皮膚科の受診をお勧めされていたそうなのですが、

「 薬漬けになるのではないか?薬と向き合っていく覚悟ができなくてためらっていた 」

とのことでした。

飼い主さんは皮膚科診療に関してそんな風に不安に思うこともあるのだなぁ、とこちらも勉強になりました。

治療には

  • 検査で原因を明らかにして対応する
  • 症状に対応して改善させる(対症療法)

とがあって、対症療法には内服薬(飲み薬)、外用薬(塗り薬)、スキンケアなどがあります。医療としては原因を明らかにして対応するのが理想だとは思うのですが、対症療法も上手に行えばほとんど治ると言えるまでになることもあるんですよね。

特に皮膚病の場合スキンケアは重要で、こんな風に飲み薬何もなしでほとんど治ってしまうことすらあるのです。この子は1ヶ月でこんなに良くなりました。

さらに、痒み指標も1-2/10とほぼ正常な子と変わりないくらいまで低下しました。

すごく遊ぶようになって元気になりましたー!なんて言われると

「この仕事やってて良かったー😭」と思いますよね😆

通院薬浴の間隔も段々空けていこうと思っています。

狭窄性外耳炎1

外耳炎が治らない – その2 - 塞がってしまったつらいお耳

何ヶ月も何年もお耳がぐちゅぐちゅなんて可愛そうなワンちゃん達。理由と治し方があります。根気よく通院して手術を回避した症例(手術を否定するわけではありません。)

  1. 半年ほど他院で治療中もみるみる腫れ上がり悪化
  2. 菌を調べる
  3. 正しい洗浄とお薬の開始
  4. CT検査結果
  5. 治療経過
  6. そして元気に

1.半年ほど他院で治療中もみるみる腫れ上がり悪化

 他の病院で半年ほど治療しているのに悪化する一方という相談がありました。

お耳は両方とも腫れ上がり、ほとんど塞がっていました。ベタベタした分泌物が出てきて匂いも強いです。細いカテーテルがやっと入るような状態です。お耳の下側まで固く腫れ上がっていました。

 多くの病院ではこのような耳に対しては手術が適応と言われます。今後ケアの必要のない耳にするにはそれが唯一「治す」方法になるかもしれません。でも全部耳道を取ってほとんどお耳が聞こえなくなるのを受け入れるしかないのでしょうか?全耳道手術は神経症状などの合併症が多く、数ヶ月とか数年経過してから傷口がじくじくしてくるなどの障害も多く発生します。

 ところが

 こんなお耳でも多くの場合手術を避けて耳の不快感のほとんどない生活と普通のお耳の形状を維持することが可能です。

ただし、一生1ヶ月に1度程度の定期的な診察と耳洗浄が必要になるかもしれません。

 両方のお話をして、飼い主さんとしては今までの病院でも手術の話をされたけれどもまだ若いし、手術は絶対嫌なんです!というご意向でした。

 全身状態、悪化前後のお食事、身体の他の部位の皮膚疾患などについても診察します。

 四肢の指間などにかなりの発赤がありました。

 アトピー性皮膚炎や食事アレルギーの疑いがあります。足先はマラセチア皮膚炎です。

2.菌を調べる

 アレルギー検査を進めつつお耳の菌についても調べます。顕微鏡検査で、細菌が多くいる場合、私は最初に菌数をなるべく減らす治療をします。

 外耳炎は抗菌剤とステロイド、抗真菌薬のミックス剤点耳薬が使われることが多いです。この子もそのような処方とアポキルの内服を続けていましたが、ちっとも効いていないようでした。

 細菌を外注検査に出して、もっと効果的な抗菌剤がないかどうかを調べます。

薬剤感受性

 まだ効果的な抗菌剤があるようです。

3.正しい洗浄とお薬の開始

 入口付近のみ洗浄液を入れてクチュクチュもんだりしません。腫れ上がって痛いお耳はなるべく刺激の少ない方法でなるべく奥から洗浄して、悪い成分を排出するよう試みます。

 適切な抗菌剤の点耳薬や飲み薬を開始します。

お薬

 前回お話したように外耳炎は洗浄とお薬、原因の除去が大切。汚れをとって、微生物を減らし、炎症を取り、そして炎症の原因も探るという多角的なアプローチと根気が必要です。

4.CT検査結果

 中耳炎も疑われるためにCT検査も薦めました。(CTセンターを紹介します)

どうやら鼓膜は無事なようです!!鼓膜が破れている場合はリスクの度合いも高くなるので良かったです!まだ間に合うかも!!

5.治療経過

 少しだけお耳の入り口が開いてきました。少しだけ中も見れるようになってきました。

今まで悪化するばかりだったので、飼い主さんも嬉しそうです😀

6.そして元気に

 最初は1週間に2回の通院から始め、次に1週間に1回。内服薬や点耳薬を適宜変更しながら根気よく通院していただきました。半年から1年位かかりますが、すっかり入り口も普通のお耳になって、中もよく開きました。

 何より嬉しいのはワンちゃんが元気になって遊ぶようになりました、と言っていただけることです。あぁ私、この仕事していて良いんだなぁと感じます😂

お耳が治ってご機嫌
お耳が治ってご機嫌

 今でも6週間に一度くらい定期的にお耳洗浄をしていますが、それで調子よく過ごしています。

疥癬

疥癬って何?人にうつる? ー とっても痒い疥癬のお話 ー

1.疥癬って何?

「ヒゼンダニ」というダニ(目に見えないくらい小さい。ものすごく眼の良い人はギリギリ見えるかも!!)が、皮膚に寄生して起きる皮膚病です。

2.どんな症状なの?

とにかく痒みが強いです😖

そして丘疹(ブツブツした発疹病変)や、フケの亢進(増えること)を認めます。疥癬のフケは分厚く降り積もるような症状になることが多いです。診察台でも掻き続けるほど痒みが強いので毛が切れて薄くなってきます。

痒い!!疥癬

このダニは上皮に穴をあけて潜り込んでいき、動物の角質を餌にして生きていると考えられています。生き物ですから中で排泄物も出します。その排泄物にアレルギー症状を起こすことがひどい痒みの原因となるようです。

疥癬のトンネル
皮膚病変分布、疥癬

疥癬の病変分布はある程度特徴的で、耳介の先端、肘、踵、そして腹部が好発部位です。

3.どうすれば分かる?

丁寧な皮膚検査を行います。フケに多くの疥癬や、疥癬の卵が含まれることが多いです。そのため、既に何度もシャンプーしてフケを完全に落としてしまっている場合、検出率は低くなります。有名な皮膚の専門医でも疥癬が皮膚検査で出てくる率は50%程度と言っています。そのため、病理検査が必要になったり除外診断あるいは診断的治療といって、ダニが証明されてはいないけれども疥癬の治療をしてみるということもあります。

掻爬検査

診断的治療はアトピー性皮膚炎の治療としてステロイドなどの免疫抑制作用を有する薬を使う前に行うべき標準的な治療法です。

4.人にうつる?

うつります。

ただし、疥癬は動物の皮膚から離れてそんなに長くは生きられない(だいたい3日くらいしか生きられないと言われています)ので、ちょっと抱いたくらいですぐ感染するものではありません。

しかしながら友人の獣医師や飼い主様でも感染した方がいますので、疥癬の動物は治療が完了するまでは他の動物とは隔離し、使用したタオルは50度以上のお湯に10分以上漬けてから洗濯してください。また一緒に寝るなどは控え、抱っこした日はシャワー、入浴を必ずするようにしてください。衣類のタオルと同様に対応した方が良いでしょう。

5.どうやって治療するの?

以前はイベルメクチンという薬を内服したり、注射したりする治療法が一般的でした。現在ではいくつかのノミ・マダニ予防製品が疥癬に対して治療効果があることが分かっています。なので、治療効果のある製品を日常使いしている子は感染する可能性がかなり低いです。そのため、疥癬をみる機会は減ってきています。

ノミ・マダニ予防製品をみなさん使用している使用していると思いますが、疥癬に対して効果があるものとないものがあるので確認が必要です。

十分治療したにも関わらず痒みだけ残る場合は、身体に残っているダニの排泄物などに対するアレルギー症状が継続している可能性を考え、治療薬を継続しつつ抗アレルギー薬を使用します。

痒くなくなってニッコニコ!!
ステロイドいらなくなったよ

ステロイドが切らせません。。いえいえ、減らす方法があるんです。今ではステロイドがいらなくなったチワワちゃん

ーステロイドが切らせませんという相談をよく受けます。順番に丁寧にアプローチすることが大切ー

センター南さんの保護犬出身です。

5歳で引取り。引き取った時点で全身の脱毛があってかなり酷い皮膚疾患だったそう。

私がセンター南に来る前から先生方も飼い主さんも一生懸命やってくれて、相当良くなったそう。

それでも、時々掻き壊してしまうのでステロイド(副腎皮質ホルモン剤)を毎日半分づつが欠かせない。もう少し減らす方法はないですか?という相談でした。

結構痒そうですね。

皮膚検査でマラセチアはいませんでした。痒い場所がかなり限局的なので、外用薬を上手に使うと内服薬が減らせそうです。保湿も重ねながらいくつかの塗り薬を薦めました。

ステロイドは早い段階で1日おきに減量できました。

アレルギー検査をしてみると。。。病変の分布からもアトピー性皮膚炎を疑いましたが、やっぱりそれっぽい。

そこで・・・ハウスダストマイトの減感作をスタートしたら。。。

何とまあ、すっかり綺麗になってしまいました。そして、飲み薬のステロイドも全くいらなくなりました。

ステロイドいらなくなったよ
もうすぐ話し出しそうな賢いお顔です!

減感作療法は今は3ヶ月おきで良い状態を維持できています😊部分的なステロイドの塗り薬もたまーに塗るくらいですんでいます。

念の為付け加えると、ステロイド=悪というわけではないんです。私も使いますし、時にはこれがベストチョイス!!って頼りにすることもある凄い薬です。

でも長期的な使用となると。。。ちょっと心配ですよね。

上手な切り方、付き合い方のアドバイスできると思います。実際に診て丁寧に聞くとたくさんのヒントが隠れています。気楽に相談に来てください。

犬の皮膚病ー 甲状腺機能低下症 ー

毛が全体的に薄くなってきた。ぽってりと太って寝てることが多い。寒がるなど。。。うちのわんこも年取ったなー。。ちょっと待って!それ病気の可能性も!!

高齢のわんこが治りにくい皮膚病を抱えてやってきた時。。。私達皮膚科医は内分泌性の皮膚疾患を疑うことが多いです。よくあるのがこんな

「膿皮症と言われたんですけど、なかなか治りません」

治療前の様子

という状態。

高齢犬で多い内分泌疾患は

1.甲状腺機能低下症 2.副腎皮質機能亢進症 3.性ホルモン疾患

の3つ。全部調べたらいきなり高額医療!!!私個人的にはこれらぜーんぶ一気に調べてついでにアレルギー検査も入れちゃうなんてのはナンセンス!と思っています😅まあ、人様のやることをあまり批判してはいけないかもしれませんが。。。。。

さて、それでは今日は甲状腺機能低下症の特徴をお話します。

1.どんな病気?

甲状腺は喉のすぐ下の部分にあって、甲状腺ホルモンを分泌する内分泌器官です。

甲状腺ホルモンは代謝を活発にし、筋肉にエネルギ-を供給し、心臓・内臓・皮膚など体のあらゆる部分の活動を調整するという非常に重要な役割を担っています。
何らかの原因で体の活動に必要なだけの甲状腺ホルモンが分泌できなくなった状態を

「甲状腺機能低下症」

と呼びます。この病気は中型犬や大型犬に多い傾向がありますが、小型犬でも発症します。5歳以降の中高齢犬に多いのですが、もっと若い場合もあります。

また、この病気は猫ではほとんど起こりません。

2. どんな症状?

  • 太りやすくなった。・・・特に甲状腺機能低下症の太り方は全体的にぽってりとした太り方!お腹だけじゃなくて、腕とか足とか首とかもな~んとなく。。皮膚もぶ厚いような。。寸胴体型な・・・そんな太り方。
  • 毛が全体的に薄い
  • 毛並みが悪い。子犬みたいなふわふわした毛並み
  • 部分的に毛がない。
  • トリミングの後毛が生えない。
  • 動作がのんびり
  • 顔つきがぼんやりしている。・・「悲しそうな顔貌!なんて表現されます!」
  • 寝ていることが多い。。

まぶたとか、唇とかの皮膚がぼってりすることでこんな表情になっちゃうんじゃないかな。。

でも。。。上の症状のリスト・・・よく見ると。。。

年取ったらそんなの普通じゃん!!

って感じの症状ばかり。。だから見過ごされてることがとっても多いと思う。。

なので最初のように「膿皮症がなかなか治りません!」とかでようやく疑って検査に進むということが多いです。

そのほかに徐脈胆嚢の異常、一般血液検査の異常(高脂血症)などから検査を進めて発見されることもあります。

 3.どうしてなるの?

甲状腺機能低下症は、おもに免疫介在性のリンパ球性甲状腺炎と、特発性甲状腺萎縮によって引き起こされます。この病気の一部には、遺伝的要因の関与が考えられていますが、明らかではありません。

また、他の病気が甲状腺ホルモンのはたらきを阻害し、同様の症状を引き起こすことが

あります。ステロイドの飲みすぎで二次的になることもあります!

95%は甲状腺そのものが原因、残り5%ほどは他の病気が原因です。

4.どんな検査をするの?

甲状腺機能低下症の検査は一般血液検査とは別に甲状腺の機能を測定するための血液検査を行います。

詳しく検査するために外注検査(外部の検査センターに血液を送付する)を行う事が多いです。

5.どんな治療をするの?

甲状腺ホルモンのお薬を飲むホルモン補充療法を行います。

他の病気が原因で起こるものを除いては、生涯にわたって治療を続ける必要があります。

治療を開始すると・・

  • 全体的に活気が出てくる
  • 毛が生える
  • 毛並みが良くなる
  • 傷や感染症(膿皮症も含む)の治りが良くなる
  • などの効果が期待できます。

反面、神経過敏、動悸が激しくなるなど薬の効果が予想以上に強く出てしまうことも時折見られます。そのため、特に治療初期は診察や血液検査による検診が必要です。

きちんと治療すれば安全に良い感じでコントロールできることが多いので、しっかり付き合ってあげてくださいね。

さくらと私

・・皮膚科認定医をどうして取ったの?どうして皮膚科医になったの?皮膚科の得意な動物病院って?よく聞かれる質問にお答えしました。

皮膚科が得意って言ってるだけなんじゃ誰も耳を傾けてくれない。どうしてそんなに勉強してるのに皮膚科だけあんまり熱心じゃないのかな?スタンダードとは違う独自な皮膚科動物病院もあるよね。。。

1.きっかけは大学時代から・・

私は学生時代の研究論文が犬の外耳炎でした。ブドウ球菌による皮膚の感染症である膿皮症やマラセチア皮膚炎、アトピー性皮膚炎の論文や書籍もたくさん読んで、皮膚病に興味を持ちました。研究室の先生がおっしゃるには皮膚科は獣医さんにあんまり興味が持たれない分野だと。。。じゃあ、勉強しようって思ったんです。

すると何と!!新人獣医師として動物病院勤務3日目から最初の病院院長に

“あなたは皮膚病をやりなさい”

と指名され、元日本獣医皮膚科学会会長の永田雅彦先生のセミナーに出席させていただける幸運に恵まれました。右も左も分からない状態で、わずか6人の少人数セミナーに参加。ベテラン叔父さん(失礼🤣)獣医さん達と一緒に皮膚科の勉強をしました。ASCセミナーの2年目のことです。今は立派なASCもあの当時は古いアパートの2階でした。永田先生が今の私よりもお若かった頃のことです!

永田先生は当時アメリカで皮膚科を勉強して戻ってきたばかり!日本にアメリカの獣医皮膚科を広めようとした初期の活動に参加させていただけるという幸運だったのです。

 それから4年余り毎月永田先生のセミナーに出席し、皮膚科の基礎をばっちり叩き込まれました。

それを一つの運命として、皮膚科をライフワークを位置づけました。

2.新米は修行の日々

とはいえ、新米獣医師。まずは一般診療・・予防医学、便検査(消化管内の寄生虫)、緊急疾患、心臓病、不妊手術、整形外科、神経学、内分泌疾患(糖尿病、甲状腺機能低下症および亢進症、副腎皮質機能亢進症)、内臓疾患(肝臓病、腎臓病、膵臓病など。)腫瘍、眼科。。。毎日100件の来院数のある病院で毎日夜遅くまで働きました。セミナーなど勉強会もふんだんにあり、家に帰るのが夜中の12時を過ぎるのもざらでした。

そして、4年目を迎える頃将来について考えを深める必要が出てきました。

当時いた病院は少し難しい外科は全部院長がやるものと決まっていました。「代診にやらせるなんていい加減な病院でしかない!」というのが当時の院長の考えでした。

「これではここに一生いても整形外科はおろかこれ以上伸びることはできないのではないか?」「もしいつか一人で小さな病院を開業しなければならなくなった時このままでその力を付けられるだろうか。。?」「病院によって得意不得意があり、来る病気さえ違ってくる。このままここにいても私はどこの病院でも通用する獣医師にはなれないのではないか?」

そんな焦りから退職し、若さに任せて自分探しの期間となりました。。

 3.自分探しの日々

外科と人脈

この2つが当時の私に徹底的に足りないものでした。求人サイトに登録し、何人かの院長先生と連絡を付け、いくつもの動物病院も見学し、企業の社長や企業で働いている獣医の先生にも会っていろんな話を聞きました。

実は多くの獣医師がこのような経験をします。そして大学で大学院生や大学の研修医として経験と人脈作りに励むか、思い切って外国に留学するというのがよくあるパターンです。

でも、私はお金がありませんでした。すでに奨学金の借金が数百万円あったので、これ以上借金するのは嫌でした。それに一人暮らしの上、これ以上親を頼りにできる状態ではありませんでした。自分の衣食住は自分で賄わなければなりません!

企業のホームページを作るバイトをしたり、ちょっとした企画や立案をしたりしながら、いくつかの動物病院でパート勤務をしながら外科の腕も磨きました。内科も随分自分で勉強し直しました。

4.妥協できない皮膚科へのこだわり・・

その中で段々分かってきたのが、

「私はどうやら皮膚科が得意だ。世間の大方の先生よりも正しく皮膚病を治してあげられるみたいだ!」という思いと、「皮膚科のやり方は永田先生のやり方をベースにするのが一番。皮膚科だけは妥協できない。。」という思いでした。

どうも内科も外科もとっても勉強していて凄い獣医さんでも皮膚科ってあんまり興味がないとか分からないっていうケースがあるってことに気がついたんです。

「やっぱり皮膚科がちゃんとやりたい。でも他の事もいっぱい勉強してもっともっと何でもできる獣医さんになりたい。自分の腕を思う存分発揮したい。。」と募る思い。。

そのうちに出会ったのがある企業病院の院長職で、院長を務めることになりました。

「好きこそものの上手なれ」とはよく言ったものです。自然と皮膚病が多く集まるようになり、経験も増やすことができました。もちろん院長でしたから夜中の駆けつけお産介助から帝王切開手術。骨折の手術まで数多くこなしました!

小さい頃からの夢だった動物病院の開業に近い状態。皮膚科が得意な動物病院。でも骨折から腫瘍から何でもできます!という明るくて一生懸命な良い動物病院だったと思いますよ。一時は獣医師4人、看護師2人の動物病院の院長でした。

5.なぜか結婚できた・・ 

 でも、大きな会社でしたから会社全体を考える必要がありました。少しでも役に立って会社をより良いものにするお手伝いをしたい💪と異動に応じることになりました。。。

ところが、会社の吸収合併などがあり、本社の方向性がちょっと納得のいくものではなくなっていました。。

何とか対応しようともがきながら翻弄されるうちに良い縁談が。。。

というわけで結婚退職をしました。😆いえね、とても気の合う男性だったんですよー。

(今の主人です!)

6.段々皮膚科を中心にした仕事に・・そして皮膚科認定医を取得

ちょうど結婚した2007年ごろから獣医皮膚科学会が認定医制度を開始しました。以前から皮膚科が好きで得意だと自認していましたが、それは「自分は皮膚科が得意だと思っている獣医さん」でしかないわけです。皮膚科の博士号を取ったわけでもなく、大学で皮膚科の研究をたくさんしたわけでもない。

その状態でちゃんとした勉強してやってます。と分かってもらうには認定医取得は良い方法と思えました。

皮膚科認定医を取得するには→こちらに詳しく書いています。

2022年現在皮膚科認定医は全国で100人程度(全国に小動物獣医師は数万人います)です。

結婚してからは東京農工大学附属動物病院で皮膚科研修医を数年経験し、2012年に獣医皮膚科認定医を取得 (→獣医皮膚科認定医とは) しました。産後復帰してから10年以上、主に横浜のベイサイドアニマルクリニックで皮膚科を担当してきました。

 

皮膚科の得意な動物病院を探すには、皮膚科認定医や皮膚科専門医の在籍する病院を探すのは一つの客観的基準になるかと思います。(もちろんまだ認定医れていない先生でも皮膚科の得意な先生はいらっしゃると思いますが)

独自路線の特殊すぎる治療はあまり提供していません。

ASCセミナー、大学病院の診療知識や論文をベースにし、引き続き皮膚科のセミナーや学会にも参加し、スタンダートな皮膚科診療を元にして、かつそれぞれの子の状態、性格、お家の事情なども加味して経験上のアレンジを加えた治療を提案します。

”皮膚病で悩める動物たちと飼い主さんのオアシスのような存在になりたい”

といつも思っています。

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きっと今よりずっと良くしてあげる!と思って取り組んでます💪

出会ってよかったと言ってもらえるのが私の喜びです!!

7.皮膚病の診療実績;

膿皮症、アトピー性皮膚炎、食餌アレルギー、疥癬症、ニキビダニ症、皮膚糸状菌症、マラセチア皮膚炎、ツメダニ症、マダニ寄生、ノミ寄生、ノミアレルギー、ステロイド皮膚症、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症、肝臓皮膚症候群、家族性皮膚筋炎、紅斑性天疱瘡、脂漏性皮膚炎、皺壁性皮膚炎、急性湿性皮膚炎、若年性膿皮症、無菌性結節性皮下脂肪織炎、AlopeciaX、淡色被毛脱毛症、性ホルモン関連性皮膚疾患、好酸球性皮膚炎、表皮嚢腫、肥満細胞腫、組織球腫、上皮向性リンパ腫、亜鉛反応性皮膚疾患、肉芽腫性脂腺炎、落葉状天疱瘡、反応性組織球症、皮膚リンパ球症など

8.現在の診療施設

 現在月曜日・火曜日午前中は横浜市神奈川区のアンベットクリニック

水曜日は1日横浜市都筑区のセンター南動物病院

木曜日・日曜日の午前中は東京都大田区の動物病院エルファーロ

隔週日曜日午後東京都港区 The Vet 南麻布動物病院

主に皮膚科を担当しています。

→ 私目線の現在の診療施設の紹介はこちら


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