他の一般診療もやりながら皮膚科専門診療も行っている場合が多くあります。
「皮膚科」を掲げる動物病院は以下の3つのパターンがあります。
1.一般動物病院に皮膚科認定医が所属または診療日がある(現在の私の働き方)
学会が認めた一定の基準をクリアした皮膚科認定が1週間のうちに1から数日一般の病院にいるというケースです。一番のメリットは皮膚科以外の検査や相談も1つの病院で1ストップで済ませられることにあると思います。認定医は取得に最短で3年かかりますし、一般診療の経験を積んでから認定医を取得するケースが多いです。ですので、科によって得意不得意はありますが、皮膚科認定医は他の病気の相談もできる場合が多いです。

(木・日曜日に私が皮膚科診療をしています)
また、皮膚科担当医があくまで皮膚科しか診ていないケースでも、他の病気の診察を他の先生に同じ病院ですぐに相談できます。
デメリットとしては皮膚科認定医の診療日が週のうちの数日に限定されることでしょうか。その場合は他の先生の診察を受け、必要に応じて日程を合わせて診させてもらうことになります。
皮膚科は命に関わることは多くはありませんが、例えば予想できない薬のアレルギーが翌日に出てしまうなんてこともあり得ないことではありません。そのような場合に内科外科一般の設備と経験のそろったしっかりした病院のサポートが得られるのは大きな安心感だと思います。

2.皮膚科専門病院
専門医が立ち上げている皮膚科専門病院では他の科は診ていないことがほとんどです。そんなことをすると他の獣医師が嫌がるし、専門医の獣医師はあくまで「皮膚科専門医」で仕事をすることを大切に考えています。新しく論文になるくらいの珍しい皮膚疾患などでは大いに頼りになると思います。私ども認定医もレアな疾患では相談したりします。

専門医は全国に10人もいない難しい資格です。専門医の先生は英語も堪能で英語の論文をいくつも書いて英語で試験に合格しています。皮膚科のことならレアな疾患も含めて何でも知っている先生方と言えます。
一般的に発生数の少ない皮膚疾患は専門医に集中するのでそういう病気の扱いは経験の少ない皮膚科医よりも上手かもしれません。また、設備と経験面で専門医でないとできない治療もあります。
一方で膿皮症や脂漏症といったよくある皮膚疾患では他の病院と同じような診療内容でも料金がかなりの割高になるかもしれません。スキンケアのサポートなどは案外一般病院の方が受けやすいかもしれません。場合によっては近隣の認定医を紹介してもらっても良いかもしれません。
他の病気の相談は普通は受けません。レントゲンやエコー検査は、ある場合とない場合があります。
3.専門医でない獣医師の立ち上げた皮膚科専門病院
認定医や専門医の資格は持たない獣医師が皮膚科を特に勉強している。皮膚科が好きだ。皮膚科が得意だ。ということで皮膚科専門診療として立ち上げている動物病院です。今認定医を目指している比較的若い獣医師が立ち上げていることが多いです。
トリミングが併設していたり、サプリメントなども充実している傾向にあると思います。毎日皮膚科医がいるので利用しやすい面もあると思います。学会が認めた基準はクリアしていないので客観的な判断基準はありません。
中には数年研修医をやっただけで病院を立ち上げているケースなどもあるようです。遠隔で高額な医療を提供していたり、学会標準とは違う独自の理論や治療法を取り入れているケースもあります。
料金は一般病院の皮膚科診療よりも高額な傾向にあります。皮膚科以外の相談ができないことが多いと思いますが、できる場合もあります。酸素や麻酔設備、レコー、レントゲンなどがない場合もあるので、必要に応じてかかりつけを利用しなければならないこともあります。
動物病院は自由診療なので自分が得意だと思えば科目を自由に看板に掲げることができるのが現状です。
その他のパターンとして認定医を持ってる院長が立ち上げた一般診療病院もあるし、色んな科の専門医集団で紹介診療を主にしている病院とか。
でも「専門医」と言ったら皮膚科専門医を取得した日本で10人にも満たない方々だけなので、私は専門医とは言わないでくださいってお願いしてるんですけどね。。
認定医も専門医も持っていないくても「専門です」は言えるんですよね。微妙です。。
もちろん優れた先生もいますけどね。
先生との相性もありますし、通院頻度や料金とのバランスもありますね。どの病院にもメリット・デメリットがあると思います。
今の所、自分の働き方は病院にも自分にも飼い主さんや動物たちにもWinWinだと思っているのですが。。
ある程度の参考になれば幸いです。